久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
写真の方は、著書:「脳梗塞・心筋梗塞は予知できる」の中のP138-141に登場いただいた方ですが(詳細は本を参照)、2007年6月に頸動脈のプラーク厚=3.1mmもありましたが、食習慣の完全な変更と血液サラサラ薬+脂質改善薬にて順調にプラーク(血管内の脂よごれ)は改善し、2010年4月以降は副作用(動悸)のために脂質改善薬を中止しましたが、血液サラサラ薬&食事療法のみは続けて、2011年8月にはプラーク厚=2.0mmとプラークの改善が続いています。
このように、食習慣の改善を前提としてプラークは改善しますが、血液サラサラ薬+脂質改善薬を如何に強力に使用しても、プラークの改善は望めないと・・私の4年間の経験ですが。
現在、動脈硬化の食事療法に真面目に向き合っている方は、ほぼ全員が改善中です。
食事内容を完全に見直すことなく、“禁煙”“減塩”“コレステロール(LDL)・高血圧を薬で厳しく管理”“肥満のダイエット”“運動”“サプリなど身体に補給”しても「焼け石に水」「的はずれな努力」というものです。
色々努力したいなら、まず酸化脂質(油炒め・揚げ物類、他)の厳格な摂取制限&アルコール多飲の禁止、砂糖含有食品や植物油含有食品や乳製品の摂取を控えましょう。
詳しくは、このサイトの別のページをくまなくお読み下さい。
「脳梗塞後・ステント治療後・バイパス治療後・・いずれの場合も、担当医から食事内容の指導を受けている患者さんは極めて少ないという事実・・・、このことが脳梗塞の再発・ステントの再狭窄など・・医師の管理下でさえ動脈硬化が進行するという不思議・・を解決するヒントかもしれません・・。」
当院では、動脈硬化の治療(プラークの縮小・退縮)参照1は既に日常のありふれた診療行為であり、LDLを薬で下げて満足する医療はすぐに改められなければいけません。参照2、参照3プラークを改善させるのに、スタチン剤は不必要です。
「LDLが低いから・・」と・・患者さんを安心させてはいけません。「脳MRIで異常ないからと・・」患者さんを安心させてはいけません…脳MRIで脳梗塞が明確に予防できるなら・・脳梗塞は激減しているはずです。
脳ドックの「異常なし」の結果を信じ・・何も行動を起こさないあなた・・危険です。
では・・どうすればいいでしょう。
当サイトを・・テレビ、新聞などからの情報を白紙にもどして・・先入観なく・・詳しくお読み下さい。真実が見えてきます。
<2015年11月30日 記事の追加です>
症例追加
53歳 男性(欧州在住:日本人) 高血圧・家族性高コレステロール血症 の症例
当院のホームページ閲覧で・・心配になり・一時帰国の・2014年12月当院受診。
上図に示すごとく、
1年弱(11ヶ月でプラークが3.91mmから2.15mmへ改善しました。動脈硬化を簡単に改善させたことになります。
この治療例に興味ある方は以下をお読み下さい
初診時:2014年12月までの経過
家族歴:父:66歳時に心臓カテーテル検査(詳細不明)79歳健在
アルコール歴:30〜40歳は1日ビール1500cc以上
40〜50歳まで・・毎日:ワインをボトル半分
51歳〜現在まで・・・週末のみワインをボトル半分
食の好み:肉:好き、甘い物:普通、野菜:好き、魚:普通、揚げ物:好き、
運動:している方
食習慣点数:235点
初診時の血管エコー:腹部大動脈A-max=1.69mm 大腿動脈 F-max=1.39mm
右鎖骨下動脈S-max=1.60mm 頸動脈C-max=3.91mm T-max=8.59mm
( 脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル= 4 )
現病歴:
2004年12月(43歳)頃から いびき&SAS(睡眠時無呼吸症候群)を家族指摘
同じ頃から 頭痛+ 2〜3ヶ月に1回程度 寝汗+ 年に2〜3回
2011年1月頃 会社で BP=230/160 指摘あり 降圧剤服用せず、肉・油・アルコール控えるように指導あり。その3ヶ月で体重74->68Kgへ減量。
2013年4月 TC=273 LDL=180 TG=164 HDL=56 で、降圧剤2種類&アトルバスタチン(10)1T処方されたが服用せず。
2014年3月 LDL=202 TG=128 HDL=57
スタチン剤のアトルバスタチン(10)1T-服用開始。
2014年12月 初診時の服用薬剤は 降圧剤:トーワミン(50)1+スタチン剤のアトルバスタチン(10)1T 中
<2014年12月に指導したポイント>
1) スタチン剤のアトルバスタチン(10)1T を中止。
2) エパデールS(900)2P/日開始 (朝1P,夕1P)、併用としてプラビックス(25)2T,1xの開始。2週間後に鼻血+にてプラビックスをバイアスピリン(100)1,1x朝後(隔日)+胃薬へ変更--->2週間後バイアスピリン(100)1,1x朝後(毎日)+胃薬へ変更 その後症状なく1年経過。 トーワミン(50)1Tは継続。
3)アルコール多飲を止め「RAP食」での許容範囲以内に変更。
特に、オリーブ油のドレッシングを止め、揚げ物・油炒めの摂取を止め、地元の美味しいハムやソーセージを止め、肉類はほとんどチキン料理にし、欧州製の豆乳ヨーグルト(フルーツ入り)を250g毎日食べるようにした。魚は欧州の内陸のため、ほとんど食べることはなかった。昼は"白ごはん"がないのでパン& 野菜サラダなど・・ジャムやバター不使用。パンはフランスパンと同様製法のサンドイッチ用のパン。
減塩指導は一切していません。
<EPAとRAP食による動脈硬化治療の結果>
A:
2015年11月(11ヶ月後)には、上図のように、プラーク肥厚が3.91mmから2.15mmへ頸動脈狭窄が著明に改善。(狭窄率が51.2%から29.5%へと改善)
B:
プラークが減った現在(2015年11月)は・・体調に変化は?
1) いびきが無くなった
2) SAS:睡眠時無呼吸が完治
3) 頭痛も血圧が低すぎる時のみの頭痛へ
4) 血圧は低下安定し・・薬不要になる日も遠くないでしょう
5) L/H比は 前の1.42から3.77へ上昇しています。心配ご無用。血管プラークが改善すればどうでも良いことです・・
<高コレステロールに関してのコメント>
家族性の高コレステロール血症の方に朗報です・・2015年11月の 採血ではLDL=226 でした。・・・つまり・・スタチン剤を中止すれば、LDLの値は2週間後にはすぐ元の値に逆戻りしますから・・この1年間もLDLは200以上であっただろうと推測されます。・・それでも・・というより・・それだからこそ・・プラークは改善しました。
(そのままの食習慣で、スタチン剤服用のためにLDLが下がって・・満足していたら・・プラークは改善することなく、恐ろしいことになっていたでしょう)
つまり、肝臓で作られるLDLは・・本当は善玉のLDLであって、口から進入するLDLが本当の超悪玉なのです。スタチン剤という薬は・・・肝臓でのLDL合成を阻害する薬ですから・・単に、肝臓で作られる善玉LDLを減らしているだけなのです。また、HDLの値は、食習慣が悪くても、良くても増減しません(下図)。
つまり、食事が良いと超悪玉LDLが低下し、全体のLDLも低下し(LDL=善玉LDL+超悪玉LDLですから)、HDLは変化しないので、L/H比は低値になります(動脈硬化の未来塾の No 34 にデータ掲載)。
逆に言えば、食事が悪ければ超悪玉LDLが高値になり、全体のLDLが高値になり、HDLは変化しないので、L/H比は高値になる・・と・・容易に推察できます。・・・確かにL/H高値(あくまでも悪い食習慣の結果ですが)は心筋梗塞のハイリスク要因なのです。
(動脈硬化の医学が「結果を原因として論ずる」ところに・・・現代医学では動脈硬化を治せない・・その根本理由・・があるのですが・・・・・)
スタチン剤は肝臓で作られるフレッシュな善玉LDLを減らし、善玉HDLはやや上昇しますから・・L/H比は低下します。・・でも・・この結果に喜んではいけません。
超悪玉LDLは減らずに、善玉LDLが減って・・その結果・・L/H比が下がるだけなのです(下図)。口から堂々と進入してくる・・プラークの原料の重要な脂質である酸化(劣化)LDLなどが減りませんから・・動脈硬化改善にとっては・・スタチン剤は・・科学的に考えれば・・ほとんど無用です。
副作用もあり、糖尿病を悪化させるリスクもあり、薬代もかかり、プラークも治せない、LDLが下がり(善玉LDLを下げて)・食習慣の改善を油断させてプラークを悪化させる可能性のある・・・そんなお薬なのですが・・ほとんどの先生方は・・薬でLDLを下げる事こそが「善」・・と・・上から教育されています。
(スタチン剤を処方する先生の責任ではなく、全ては過去のスタチン剤の研究者や、その結果を鵜呑みにした指導者の責任でもありますので、くれぐれもご理解下さい)
更に、この症例のプラーク肥厚には、アルコール多飲も大きく関与していますので、アルコール多飲や御菓子の多食とプラークとの関係についても言及します。
LDLやTGが低くても血管エコーを行えば・・脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4 の方も多くいらっしゃいます。その理由を図で示しますので、心当たりの方は、安心のために、ぜひ血管エコーをお受け下さい。
<まとめ>
最近は若い人の脳梗塞・心筋梗塞・くも膜下出血(多くは脳動脈瘤が原因)が増えています・・・
酸化した脂質を食べる事を・・野放しにして・・糖質制限食を勧める・・・・諸々の書籍が驚くほど売れています・・書籍や今までの通説にはご注意下さい。
血管の中を1/100mmの精度で検査できる超音波装置がなければ・・人類は永久に動脈硬化の原因と結果を誤解し続けることでしょう。
それまでは、惑わされることなく・・、当ホームページの他の項目まで御一読いただき・・御自身とご家族の健康をお守り下さい。
(上記:2015年11月30日 症例追加して記載)