脳梗塞・心筋梗塞の予防法

A1c値は・LDL、L/H比よりも脳梗塞・心筋梗塞予防に役立つ

当院でのデータですが
全身8カ所の血管エコーの検査を行う際に、健診などで持参いただいたA1cの値と全身の動脈硬化の総合血管汚れ指数(T-max)を比較しました。
60歳以上で、糖尿病ではない方のデータです。
糖尿病ではありませんのでA1cを測定した症例数が少ないのですが・・・思わぬ結果が出ました。

1)糖尿病合併の患者さんのデータに注視していて、A1cの有用性を見いだせなかったのですが(次回掲載)、表のごとく・・
糖尿病ではない方のA1cは食習慣点数と同様の動脈硬化進行度判定(参照1)が可能であると判明致しました。
つまり、A1cが5.8以上の人はA1cが5.2未満の人達より1.86倍も脳梗塞・心筋梗塞などになりやすい。(以下の論文と同様の結果)

2)一方で、現在は動脈硬化の最大の犯人とされる風潮があるLDLやL/H比を、A1cで仕分けされたT-maxが高い群と低い群で比べると、両群におけるLDL,L/H比の差は認めません・・

すなわち、LDLやL/Hに重点を置いた健診より、A1c値に重点を置いた健診が有益だと判明致しました。

このT-maxと検診時のA1c値の関連は、A1cが高値であるほど血管の汚れ(動脈硬化)は進行していることを証明したことになります。
もしT-maxの結果を見ないことにして、何もせずに10年以上もフォローした場合はどうなるか?・・その結果は米国のジョーンズホポキン大学による2010年の「New England Journal of Medicine」3月4日号に掲載されている結果と同様になるのは明白でしょう。調査の対象になった人達は、11,092人以上におよび、糖尿病も冠動脈疾患でもない人達でした。

「New England Journal of Medicine」に掲載された、15年に及ぶ疫学調査では・・「A1cが5.5%未満の人では冠動脈疾患、脳卒中のリスクは平均であったが、5.5〜6.0%ではリスクが1.23倍、6.0〜6.5%未満ではリスクが1.78倍、6.5%以上では1.95倍になった」というものです。

**もし、ジョーンズホプキンス大学で15年前に8ヶ所の血管エコーを行い、T-maxを測定していれば、15年間に発病した1,200人の冠動脈疾患と358人の虚血性の脳卒中(脳梗塞)の人達の多くは救われたと考えられます。***

お判りですか? 血管エコーを受けないで医療を受ける怖さを。

A1cが高い人は・・高血圧を改善させても脳梗塞・心筋梗塞のリスクが下がらない(参照2)のと同じで、血糖値やA1cが低下しても決して安心してはいけないのです。

これからは、動脈硬化に関する疫学調査の主眼は「何%病気になるかどうか、何%倒れたかどうか・・」ではなく、「動脈硬化(プラーク)が如何に改善されたかどうか・・」に・・現代医学は今すぐにでも血管エコーを駆使した予防医学へと大きく舵をきる・・べきだと思います。

私のプランが現実になれば、医療費は毎年数兆円節約でき、家族・本人の時間的・精神的な苦痛は激減し、日本を支えている団塊の世代の経済活動は低下せず、国益に利することになると確信しています。

「脳梗塞・心筋梗塞の予防法」目次へ戻る

Dr.真島康雄のバラの診察室

携帯版のご案内

お知らせ

リンクページ