脳梗塞・心筋梗塞の完全予防法

「糖質制限食」開始から3年2ヶ月後に脳梗塞になり、食習慣が発病を早めたと思われる症例。

糖質制限食が2008年頃から脚光を浴びています。なるほどA1cと体重は低下するのでしょう。

しかし、その糖質を制限する医療には大きな危険が潜んでいます。(参照1

本日、「糖質制限食」を勧める本を読み、信じ、そしてその通りに2008年11月から実行し、それから約3年2ヵ月後に半身麻痺の脳梗塞になられた方が遠方より受診されました。

特に、この2年間は「糖質制限食」を徹底して行い、“トンカツ”をかなり食べた・・とのこと。

飲食歴:アルコール:55才まで:日本酒304合+ビール750mlほぼ毎日、現在はビール350ml3〜4日/週、
50才まで:牛乳コップ1杯ほぼ毎日
肉:好き、甘い物:好きでない、野菜:好きでない、揚げ物:普通

この方は、71歳の男性で、20年前から糖尿病で薬を内服開始が始まり、現在も病院へ通院中です。4年前からコレステロールが高いとの指摘を受けています。

しかし、頸動脈エコーなどの血管エコー検査を一度も受けたことがないそうです。そして、この方の血管は激しく脂汚れしていました。(写真

考察:
今までの食習慣と血管プラークの石灰化の程度から、「糖質制限食」を行う前から脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4の動脈硬化は間違いなく存在していたと思われます。

ただし、石灰化していないプラークが写真以外にも多く存在し、最近のプラークの堆積を伺わせる所見も存在しました。

結論:
元々、血管プラークが多く堆積していたのに、“A1cを下げる目的の治療に効果がある”として”、劣化脂質を非常に多く含む“トンカツ”をかなり頻回に食したために、プラークの堆積速度が速まり、脳梗塞の時期を早めた可能性は否定できません。

今までの実際のケース(参照2)(参照3)に照らして考えれば、過度の「糖質制限食」が脳梗塞の時期を早めたと結論づけざるをえません。

元々、この方は“肉”と“アルコール”が好きな方で、肉も揚げ物も食べていい「糖質制限食」は“渡りに船”だったのでしょう。

追記:
過度の肥満などでは、ある程度の「糖質制限食」は有効かもしれませんが、その「糖質制限食」を行う前と、行っている最中には安全確認のために「8カ所の血管エコー」を受けられてはいかがでしょう。

何度も申し上げますが、A1cが低下し、または体重が減少しても血管プラークの減少とは直接の関係はありません(参照4)(参照5)。命に関わりますので、「糖質制限食」に突き進むのはくれぐれもご注意下さい。

この数年の「糖質制限食」に関する本の著者の方々は、ご自分や患者さん方の血管プラークをご覧になったことがあるのでしょうか?“目が不自由な人はヘビを怖がらない”という昔の言い伝えがあります。とても心配です。

2013年5月下旬に来院した患者さんからの実話ですが、「54歳?位の同僚の男性が4月に心筋梗塞で急逝された」そうですが、生前にその方は「4年前からご飯(お米)を食べないダイエットをしている・・」と患者さんに話されていたそうです。

油と脂を制限しない糖質制限食が如何に危険かの事実関係をお示しします。

C-max=左右の頸動脈のプラークの厚さ(厚い方)。F-max=左右の大腿動脈のプラークの厚さ(厚い方)。S-max=右鎖骨下動脈のプラーク厚さ。A-max=腹部大動脈の分岐部周囲のプラークの厚さ(厚い方)。

まず、昔の平均的な食習慣と比較して、アルコール多飲・揚げ物類・肉類・甘い物の多食は血管の脂汚れを増加させる非常に大きな要因です(T-maxが上昇)。

T-maxの+1.0mmは10年分の寿命短縮に相当します。
血管の脂汚れとLDLとの関係は全くありません。

この事実を踏まえて、県別の心筋梗塞・脳梗塞の死亡率が高い上位10県の肉類・油・砂糖、などの消費量を調べました。

女性では、心筋梗塞死亡率:上位の県は食用油と砂糖を多く消費している県に目立ちます。(女性の大腸ガン死亡率上位の県は、牛肉を多く消費している県が目立つ。大腸ガンは動脈硬化と関係有り)

しかも、食用油をあまり消費していない県は、女性の心筋梗塞死亡率上位の県には存在しません。揚げ物や油炒めに食用油は多く使いますね。(揚げ物・油炒めを制限しない糖質制限食は危険でしょう)

女性で、心筋梗塞死亡率:下位の県は食用油と砂糖・豚肉をあまり消費していない県が多いようです。

男性でも同様に、心筋梗塞死亡率上位の県は食用油と砂糖を多く消費している県、アルコール多飲の県に目立ちます。

脳梗塞死亡率上位の県:女性では、やはり食用油と豚肉を多く消費している県に目立ちます。料理の種類が目に浮かびます。

脳梗塞死亡率上位の県:男性では、やはり食用油と豚肉を多く消費している県やアルコール多飲の県に目立ちます。

動脈硬化と全く関係のない死亡原因である"不慮の事故"と、油、肉類、砂糖などの消費量との関係を調べました。(屋根からの転落事故などは男性が多いので女性で検討しました)

油、肉類、砂糖などの消費量と、動脈硬化と関係のない"不慮の事故"の死亡率には全く関係を認めません。

心筋梗塞の主な原因に"喫煙"をあげる学者がおられますが、女性の心筋梗塞による死亡率と、県別での喫煙率との関係は明らかではありません

同様に、男性の心筋梗塞による死亡率と、県別での喫煙率との関係も明らかではありません。

私の調査では、喫煙者は揚げ物・甘い物・肉類の多食、アルコール多飲者に多くみられます(循環器臨床サピア9、P77)。ですから、喫煙者の血管プラークがより肥厚しているのは事実です。・・つまり、喫煙が動脈硬化の主犯と誤解されたのです。禁煙しても、食習慣がそのままならプラークは悪化します。

実は塩分消費量が多い県は、脳梗塞・心筋梗塞が多いのですが、それらの県は、油・肉類・砂糖・アルコール消費量などが多い県と非常に良く重なります。

油・肉類・砂糖・アルコールの個人消費量が多ければ、個人の血管プラークが肥厚(多く、高く)するのは明白な事実ですから、

塩分と動脈硬化との関係があるとする今までの疫学調査は再検討・再評価されなければいけません。詳細はこのサイトの「食塩制限で・・・・」のページに記載予定)

とにかく、こんな議論をしている暇はありません・・・・。"論より証拠"に意味があります。

身の危険を回避するために一度は8カ所の血管エコー法を受けるべきです。・・いつ受けるか? 今でしょう!。

なお、ご希望の方は、血管エコーの所見を添えて、かかりつけDrに紹介できますのでご相談下さい。

追記:2015年3月25日
・・・・糖質制限食がダメな理由・・・・・古代人のミイラが語る・・・・
<・・狩猟民族より・・農耕民族の方が・・・動脈硬化が少ない・・・・>
(古代人のミイラを全身CTすることで得られた事実です)The Lancet, 6 April 2013

対象と方法:
Thomasらは、大きく異なる4つのヒト集団(古代エジプト人、古代ペルー人、アメリカ南西部のプエブロインディアンの祖先、アラスカ・アリューシャン列島の先住民族(Unangan)のミイラ137体について、全身のCTスキャン画像による血管の石灰化の有無の解析を行った。 ミイラの死因の多くは感染症とおもわれる。

なお、4つの集団の生活様式は異なり、古代ペルー人は主にトウモロコシ、サツマイモ、ジャガイモ、バナナなどを主に食べていた民族で・・Unanganはカヤックを用いた狩猟民族で、海産物として、アザラシ、アシカ、ラッコ、クジラ、魚、ウニ、貝、鳥、鳥の卵などを食べる狩猟採集する民族。

結果:
最も動脈硬化の人(石灰化を認める人)が少なかったのは、古代ペルー人の25%(13/51)、最も動脈硬化の人が多かったのはUnanganの60%(3/5)であった。

Unanganの25-29歳と思われる女性の頸動脈にはプラークの石灰化が認められた。

<私の考察・結論>:
1) 農耕民族の古代ペルー人は炭水化物摂取主体の食文化。「糖質非制限食」

2) 一方 Unanganが住んでいたアリューシャン列島では穀物摂取が非常に厳しい環境ですので・・究極の「糖質制限食」「炭水化物制限食」状態。

3) 「糖質制限食」を子供の時から行っていたUnanganの20代の若い女性は、明らかに動脈硬化が進行していた。

結論:少なくとも穀物「糖質」主体の食生活の方が動脈硬化を来さない。

健康の優先順位第一位は「動脈硬化=プラークを溜めない」であって、体重は2の次です。プラークの状況に無頓着で・・・体重が減って喜ぶのは・・真の健康の専門家ではない。

私のプラークと食事との関係の研究結果と一致します。

古代人の食習慣と動脈硬化に関する科学的なデータとして・・・このデータに勝る論文は、現状では有り得ません。まさしく・・・現代人にも通じる・・論より証拠の論文です・・。

まだ糖質制限食をされている方は・・くれぐれもご注意下さい。

 

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