久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
今まで原因不明と考えられてきた「本態性高血圧」の本当の原因を科学的に解明しました。
高血圧(本態性)を治すためには「高血圧の原因」を正しく理解する必要があります。
名探偵シャーロックホームズ・・・になったつもりで・・以下をお読み下さい。
一般に、高血圧が持続して・・動脈硬化(プラークの堆積)が進行する。・・と、考えられています。・・・・・・・しかし、これは正しくありません。・・・その高血圧はどこから来るの?・・そ・それは本態性といわれて・・不明なのです・・(この論理は科学者なら理解できないはずです・・医学生に・・「原因不明です」・・と説明(思考停止させる教育)してもいいのでしょうか?
今回の研究目的は・・・すでにサイトで証明していますが「血管プラークが溜まりだすと・・高血圧になり・・・プラークが更に進行すると高血圧の程度も進行し・・プラークが減ると・・・血圧が低下する」。・・これは物理的に納得できる高血圧に関するメカニズムです。
しかし・・・血管プラークが溜まっているのに高血圧にならない方々の理由が不明でした。・・・ (これこそ・・・「血管プラーク(原因)が溜まりだしてから・・その結果として・・高血圧になる」ことを裏付ける科学的な証拠だったのです・・もし、高血圧が動脈硬化(プラーク)の原因だったら・・・こんな現象高血圧がないのに動脈硬化がある・・は有り得ません。)・・・以下に検証結果記載。
しかし、この鶏が先か、卵が先かの論争を複雑化させている症例を時々経験します・・・つまり、・・肥満は高度だけれども・・プラークは溜まっていない(動脈硬化ではない)・・けれども・・高血圧である方々の存在です。
そこで・・
高血圧の真実に迫る研究・・T-maxという科学的測定法を用いて
目的:
肥満と高血圧との関係を科学的に解明すること
対象と方法:
2016年7月までの過去9年間に、T-max( A-max+F-max+S-max+C-max)を測定し得た4805例中、30歳以上で、全身8カ所の血管エコー検査を行い、BMI、降圧薬服用の確認を行えた症例で、T-maxが5mm以下(ほとんどが脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=0)つまり、末梢血管にプラークがほとんど無く、プラークによる末梢血管抵抗が非常に少ない症例の1255例で検討。高血圧の診断は降圧薬を服用中の症例を高血圧(+)とし、服薬なしの症例を高血圧(-)と分類しました。
結果:
以下に記載
1)肥満状態になると、血管プラークの進行が無い症例においても、高血圧薬(降圧剤)の服用に迫られる高血圧となる症例が16.9%も存在する。
2)肥満の人は痩せ型の人よりも5.8倍も高血圧になりやすい。
3)標準体重の群の中で、BMIが僅かに上昇しても、高血圧のリスクは階段状に確実に上昇する。
考察:
結論:
体重を少しでも増やすと高血圧の確率も確実に高くなる・・ならば、逆に体重を1〜2kgでも減らすことは、血圧を安定させる合理的な方法であるといえる。
ただし、ベストセラー書籍で話題の糖質制限ダイエットやMEC食などの・・血管プラークを増やす食習慣を参考にして体重を落とすことは・・心筋梗塞・脳梗塞になりやすいので・・極めて危険です。
しかも・・身体全ての血管が汚れて細くなるわけですから・・目に見える形での老化現象が顕著に表れます。
単純に痩せても、単純にA1cを下げても・・決してプラークは減りません=決して心筋梗塞・脳梗塞のリスクは低下しない・・健康の判断材料はプラークの増減なのですから。
体重を安全に減らしたいなら・・当院の「RAP食」をお勧めします・
結果:
1)プラークによる末梢血流抵抗の影響を除外した症例において、高血圧群は明らかにBMIが高値である。
2)同じく、高血圧群は、塩分摂取量を全く考慮していない食習慣点数が明らかに高く、揚げ物、脂の多い肉類、お菓子類を好む食習慣であったと思われる。言い換えれば・・塩分以外の食習慣が大きく高血圧に影響している。
考察:
血圧を下げるには、食習慣点数が低値となるような食習慣「RAP食」が必要で、その結果として、血圧も低下し、肥満度も低下すると考えられる。
プラークを減らし、体重を減らし、血圧も減らし、免疫も高める「RAP食」は、血管病や認知症の予防にもなり、高齢者に限らず、若年者にとっても病気にならないための理想的な食習慣と思われる。
備考):
塩分制限は、プラークや肥満に対しては・・直接の関係は無く・・・・従って・・血圧を安定させるための塩分制限は特に必要ではありません。・・・だからといって・・多く摂りすぎてはいけません。
ただし心不全や腎不全の傾向(Cr:2.5以上)がある場合には・・塩分少なめ・・が必要。
目的:
本態性高血圧症を解明するためには、高血圧になり始める若い世代(30〜50代)の高血圧の状況とプラークの状況を同時に把握する必要があります。 そのためには、比較的若い世代を対象に、血管プラークがあまり溜まっていない例(初期の動脈硬化症例)における高血圧に関するデータが必要になります。
対象と方法:
対象は30〜50代とし、肥満による高血圧の影響を最小限にするために、BMIが22未満で、T-maxが8mm以下の比較的初期の動脈硬化群の857例で検討しました。
高血圧(+)群は降圧剤を服用群で、高血圧(-)群は降圧剤を未服用群です。
結果:
1)T-maxが1.5mm増加するたびに、高血圧のリスクは約2倍上昇。
2)T-maxが3.5mm以下から6.5〜8.0mmへ増加すると、10倍も高血圧になるリスクが上昇。
3)BMIが22未満で、プラークがほとんど溜まっていない人が高血圧になる確率は希である。
考察:
対象:
表3の症例中、T-maxが4.0mm未満の7症例で検討しました。
結果:
1)7例は全例が女性でした。
2)7例中、Case2、Case5、Case7 の3例が自律神経失調による高血圧が疑われました。
3)Case 1は腎機能の関与、Case 3 は更年期障害、Case 4 は左室肥大 などが高血圧に関与している可能性も考えられます。
4)Case6の症例は、T-maxが3.65mmとプラーク堆積は非常に少ないと判断されますが、左右の頸動脈にプラークを認めていました。コレステロールを下げる薬であるクレストールを中止いただき・・・LDLは124→ 224へ上昇したままですが、1年半で左の頸動脈のプラークは1.53→ 1.43mmへ、右の頸動脈のプラークは1.26→ 1.18mmへと、明らかにプラークは改善し、頭痛・肩こりは全く消失し、高血圧も低下・・安定し、降圧剤の減量から終了も可能です。
備考)
結果:
1)高血圧(+)群では明らかにT-maxが増加している。つまり、動脈硬化(プラーク)レベルが高い。
2)高血圧(+)群は明らかに高血圧(-)群よりも高年齢である。
次に、今までの研究1・2の結果から痩せていて高血圧がある人は、痩せていて高血圧がない人よりも血管プラークが溜まっている可能性が高い・・という仮説を立てて、実際に検討しました。
仮説の検証: 30歳以上で、痩せ型の人(BMI<18.5)で高血圧がある46人の
T-max=9.02±3.21mm(平均年齢68.0±8.9歳)でしたが、高血圧がない人(年齢補正後の116人)では、T-max=7.55±3.1mm(平均年齢 67.8±6.6歳)であり(p=0.008)、
同じ痩せ型でも、高血圧があればプラークの程度がかなり進んでいるという・・証明が可能です。・・
私が考える「降圧剤の必要性」:
付録)・・しばらく休憩して次をご覧下さい・・・主に循環器のDr向けの研究内容でしたので・・
本態性高血圧(高血圧の90%が原因不明の本態性高血圧である・・とされてきた)の 原因を以下に図示しました。------- 一般向け内容 ----------
実際の症例では、「肥満+血管(動脈)プラーク」が原因である場合が大多数と思われます。
この本態性高血圧は基本的には全て治せる病気・・薬からの離脱が可能・・です・・上記の変化は可逆的なのです。
それは、(高血圧の原因である動脈硬化を・・時代に先駆けて・・治せています・・)ので・・
ですが、まだ2016年7月の時点では・・・医学の常識として・・高血圧も、動脈硬化も治らない病動脈硬化を進行させない・・のがやっと・・ということになっています。
下の図2は、「高血圧の薬は一生飲み続けなければならない・・・」と・・39年前に先輩医師に教わりましたが、そのことの・・なぜそうだったの・・?・・を図にしたものです。
「高血圧をコントロールしていれば・・動脈硬化は進まない・・」と、何十年も臨床現場で信じられ続け・・そんな油断が・・社会全体の油断を招き・・
「高血圧でもないのに・・どうして自分が脳梗塞に?・・」「血圧の薬を飲んで・・血圧は低いのにどうして自分が」・・・という不幸へ導くことになっているのかも・・・。
大変申し訳ありませんが・・糖質制限をまだ実行されている方々へ・・「体重が減った」・・「血圧が下がった」・・・・そんな低いレベルの目標が達成されたからと・・決して喜んでいてはいけません。動脈のプラークが減って・・その時点で喜びましょう。
今回の研究からすれば・・血管エコーという科学の目を用いることなく・・・・・健康にいいから(健康の判断根拠が理論的ではあっても実証的ではない)と・・・・・全く誤った作戦が立案され・現在もなお実行され続けている・・・そういう悲しい現状が今日:2016年の姿です。
当院では、高血圧や脳梗塞・心筋梗塞・・・多数の血管病・・その原因である動脈硬化(プラーク)を治す事を・・2007年末頃から・・日常の業務にしています。
以下の図が・・当院へ通院中の患者さん方の・・代表的な臨床経過です。
<余談>
「血圧とプラーク治療との関係」--今回の研究結果を踏まえての・・・大まかな予測
血圧を下げる努力をする場合の注意事項:
おわりに:T-maxと肥満症と高血圧のデータを積み重ねて、医学界の超難問:「本態性高血圧の原因は?」を解明できた気がします。・・疫学調査よりも科学的で人道的な研究方法であることをご理解下さい・・
病気の原因が解明されて・・何が変わる?・・・人類は・・全ての災難に対して・・原因究明を続けて・・災難・病気の被害を最小限に・・ゼロ・・に出来たのです。
人類がペストを克服したのも・・まずはその原因が魔女や悪魔ではなく・・細菌であることを突き止めて・・それからの進歩でした。
参考までに:
「自覚症状とプラーク治療との関係」
高血圧、肩こり、こむら返り、頭痛、朝のふらつき、胸の圧迫感、動悸、不整脈、いびき、SAS・・・これらの症状は動脈硬化と密接な関係がある自覚症状ですが、症状がない方も多くいらっしゃいます。
エパデールSなどの薬による直接の効果も僅かにありますが、基本的にこれらの症状が軽快〜消失すれば、高い確率でプラークが改善中だと思われます。
逆に、これらの症状が出始めたら・・要注意です。 (動脈硬化の自・他覚症状や・・動脈硬化の図解はここをクリック)
2016年7月31日 記載