脳梗塞・心筋梗塞の完全予防法

糖質制限食の開始8年で脳梗塞になった1例と、10ヶ月で脳梗塞になりかけた1例

最近も糖質制限を勧める新聞記事などが見受けられるために、糖質制限食の危険性に警鐘を鳴らし続ける必要がありそうです。

当院に、過去に糖質制限(4ヶ月〜8年の期間)をした経験のある方が、2016年9月までに29名受診されました。2例は既に公開し「動脈硬化の未来塾(29) (46) 」、関連記事「動脈硬化の未来塾(39) (28) (9) 」も掲載していますが、今回も新たに2例を掲載します。

症例1:46歳 男性 糖質制限食 8年で脳梗塞を来した症例

2016年5月下旬の8カ所の血管エコー所見

食習慣点数=246点

経過:

  • 2008年5月(38歳)頃・・に糖尿病指摘・・・この頃から糖質制限食開始
    ( その後は糖尿病の悪化なし )
  • 2014年4月頃   サラダにオリーブオイル使用開始
    (2年間のオリーブオイル使用が糖尿病を悪化? プラーク堆積に拍車!)
  • 2016年3月 起床時に左手のしびれ+・・・昼過ぎに左半身のしびれに拡大
    タクシーで救急病院受診  頭部MRI=脳梗塞+  体重77Kg
    血糖=180 A1c=9.5 糖尿病薬、クレストール、シロスタゾール開始
  • 2016年4月 退院後は当院の「RAP食」へ変更
    サラダのドレッシングもノンオイルへ変更
  • 2016年5月中旬 健診:A1c=6.6 Cr=1.07 LDL=48 TG=51 HDL=53 血糖=88
  • 2016年5月下旬 当院受診 約2ヶ月間のRAP食にて体重は77→67Kgへ減少。

考察:

上記の8カ所の血管エコー所見にて・・A-max=0.81mm F-max=0.58mm S-max=1.15mm C-max=1.38mm 私の脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=1 (0〜4)で一見安全域みたいに見えます。 私の基準は、血管のカーブ部、分岐部に最もプラーク堆積する場合を想定しており、それらの以外の直線的な血管(総頸動脈)を基準に設定していません。

40代の総頸動脈IMTの平均は・・集計していませんが・・経験値では 0.45±0.10mmです。 この症例の左右両側共の総頸動脈のIMT=1.38mm は同世代の人達と比べれば約3倍のプラーク堆積です。 糖質制限にも関わらずA1c値から・・血糖のコントロールが不良な状態と考えられ・・脳梗塞のリスクは充分にあったと推測可能です。


まとめ:

1)この症例は・・巷に流行の糖質制限食を8年間続け、6年目にはオリーブ油使用に傾くなど・・血管プラークを堆積させる食習慣によって・・脳梗塞を来した症例であることが強く考えられる。
2)この症例は38歳という若さで糖質制限食を開始したために・・糖質制限前のプラーク堆積が少なかったと想定され・・この症例では・・8年という長い歳月が・・脳梗塞までに必要でしたが・・50〜60歳以上の者が・・このような油もの、脂ものを制限しない糖質制限食ダイエットをすれば・・1〜3年以内に脳梗塞・心筋梗塞に・・数年後に認知症になる可能性が大になるものと考えられる。


症例2:68歳 男性 糖質制限食 10ヶ月で脳梗塞になりかけた症例

2016年9月中旬 初診時の8カ所の血管エコー所見ですが・・

家族歴;父:60歳 脳卒中で永眠
職業:医療関係者
食歴:2016年6月まで 朝はパン食:毎朝ロールパン+バター付けて。
& 毎朝牛乳コップ1杯+牛乳製ヨーグルト1個

アルコール歴:2016年6月まで・・ビール350+日本酒1.5号 6月からビール350x2
食習慣点数=363点

経過:

  • 2015年7月まで・・健康そのもの BP=135/75 前後で安定
  • 2015年8月頃・・糖質制限ダイエット本購入にて・・・糖質制限食を開始
    (肉、脂・油もの増えた・・)
  • 2015年12月頃〜血圧上昇(BP=150-160/85-95位)
  • 2016年3月頃・・2回も・・入浴後に200以上に血圧上昇・・アダラート自分で内服
  • 2016年6月初旬・・朝の起床時にふらつき感+・・真っ直ぐに歩けなく・・
    タクシーで救急病院へ入院・・脳MRI=異常なし・・
    右頸動脈プラーク=2.9mm 左総頸動脈=3.8mm (かなり正確な測定)
    LDL=168 TG=110 HDL=58 L/H=2.90 血糖=104 Cr=0.69
    SAS簡易測定=SAS+ CPAP使用開始  スタチン剤処方あるも・・服用せず。
  • 2016年6月中旬・・本人希望でエパデールS(900)2,2x処方受け服用開始
    & 当院受診予約&「RAP食」開始
  • 2016年9月中旬 当院初診

考察:

この症例は腹部大動脈が石灰化を伴うプラークにより、高度な腹部大動脈狭窄を認め、家族歴などからも、日頃からプラークが溜まりやすい食習慣(食習慣点数=363点)であったことがうかがえます。T-max=14.79 C-max=3.72 からも糖質制限をしないでも脳梗塞・心筋梗塞の前状態であったと思われます。

一連の経緯を鑑みれば、糖質制限食ダイエットが脳梗塞直前状態へ・・急速に歩を進めたことは明白です。

糖質制限食ダイエットの書籍を信じ・・それを実行したことは・・本人が医療関係者だからこそ・・医学の古い常識が・・血管プラークの把握のために・・全く役に立たないことを証明した症例と思われる。


結論:

糖質制限食ダイエットは血管プラークを急速に悪化させ、脳梗塞へのカウントダウンが加速される場合がある。



2016年9月22日 記載

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