脳梗塞・心筋梗塞の完全予防法

RAP食とEPA製剤で頸動脈などのプラークは治せる。動脈硬化関連の不治の病は激減する。

はじめに、動脈硬化(プラーク)が原因で生じる病気・症状として・・「高血圧」、「腎不全」、「眼底出血」、「失明」、「心不全」、「心筋梗塞」、「狭心症」、「脳出血」、「脳梗塞」、「認知症」、「うつ病」、「頭痛」、「肩こり」、「脊柱管狭窄症」、その他・・・、などがある。
プラークができると組織が低酸素状態になり「ガン」になりやすい状況に傾く。

これらの病気を全て未病で治せると思われる方法(病気の予防または治療法)を開発し、その確かな結果を得たので報告する。

研究タイトル:RAP食とEPA製剤による動脈プラークの治療法に関する研究
研究発表者:真島消化器クリニック 真島康雄

この研究に関連して、著者が開示すべき利益相反関係にある企業などはありません。

対象と方法:

2013年3月1日から2015年6月30日までの当院へ受診された連続1412名の内、8カ所の血管エコー検査(血管エコー実例・研究をビジュアル解説 1)にてプラーク治療が必要と認められ、EPA剤・ビフィズス菌製剤服用の適応であった症例で、以下の条件に適合した204例(男性97名、女性107名)を対象とした。
全例に対して、RAP食(Medical diet for Regression of Arterial Plaque)(血管エコー実例・研究をビジュアル解説 29)の内容を詳細に説明し、「控えるべき食品」「摂取すべき食品に」関する注意事項を可能な限り守っていただいた。

(適応条件)
1) スタチン剤を服用中の場合は、中止が可能であること。
初診時にスタチン剤を服用中であった30例に関しては、担当医の同意と本人の希望にてスタチン剤を中止して経過を観察した。
2) EPA製剤(基本的にエパデールS(900)2,2x)とRAP食にて加療を行い、2016年1月以降も当院へ受診中であり、治療開始から1年以上を経過した症例。
また、EPA製剤は服用開始から、少なくとも2年間は先発品を使用し、可能な場合はラックビー微粒N:2.0、2x(ビフィズス菌製剤)を併用した。

対象症例のイベント既往例は21例(10.3%)であり、内訳は無症候性脳梗塞10例、脳梗塞5例、TIA:一過性脳虚血発作3例、脳出血の2例、冠動脈バイパス術1例、冠動脈ステント留置術1例であり、対象症例の183例(89.7%)は脳・心血管の非イベント症例であった。
それらの183症例を当院独自の「脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル(0〜4)」で分類(動脈硬化の未来塾 37)すると、
リスクレベル4は89例(48.6%)、リスクレベル3は52例(28.4%)、リスクレベル2は37例、リスクレベル1は5例、リスクレベル0は0例であった。

対象症例の平均年齢は63.3±8.3歳で平均観察期間は27.2±7.7カ月であった。

プラーク退縮に関する判定基準としては、プラーク「改善」または「悪化」例は、1カ所の観察部位でプラークの厚さが-0.3mmまたは+0.3mm以上となった症例、「改善傾向」または「悪化傾向」例に関しては、1カ所が-0.2mmまたは+0.2mmで他の1カ所で-0.1〜-0.2mmまたは+0.1〜+0.2mmである症例とし、「不変」とはいずれの観察部位でもプラークが-0.1mm未満または+0.1mm未満である症例とした。「改善」と「不変」の間を「改善傾向」、「悪化」と不変の間を「悪化傾向」とした。
( プラーク改善の判定基準は 動脈硬化の未来塾 No 34 )

結果:

表1のごとく、
1)204例中164例(80.4%)のプラークが「改善」し、18例(8.8%)のプラークが「改善傾向」であった。 他に、「不変」:12例(5.9%)、「悪化傾向」:2例(1.0%)、「悪化」8例(3.9%)であった。

3) RAP食を行っているのにプラークが改善しなった症例の原因としては、仕事上での会食が多い、家族の入院&介護などで外食の機会が増えた、孫達との同居で若夫婦と同じ食事内容になった、などの社会的および家庭的な生活上の制約や、当院推奨レベル以上の飲酒や喫煙が止められないなどが認められた。その他に、一般的には「健康にいい」とされている各種の植物油を生で毎日飲用、調理で頻回に使用、植物油(油脂)が原材料に添加された各種のサプリ(多くはソフトカプセル)や魚油由来のEPA/DHAサプリの毎日服用、および青魚の多食などがあった。
(動脈硬化の未来塾 48) (動脈硬化の未来塾 53) (動脈硬化の未来塾 54) (動脈硬化の未来塾 63) (動脈硬化の未来塾 64)

4) 腎機能の改善に関して:対象者の204例中、初診時にCr値が1.10以上であった症例は3例(女性2例、男性1例)のみであった。女性の 2 例のCrの推移であるが、それぞれ Cr1.24→0.95 Cr1.29→1.01 へ改善し、男性の 1 例は Cr1.10→1.04 とやや改善した。

考察:

1) 最近の動物実験による論文で、「EPAでもDHAでも動脈プラークの肥厚を抑制する」との報告がある(A. Takashima et al. /Atherosclerosis 254(2016)142-150.)。今回の臨床研究はEPA製剤を用いているが、EPA+DHA製剤でも同様の結果が期待される。

2) 現在の一般的な動脈硬化診療の基本は、「コレステロールを薬で下げて動脈硬化の進行を抑える」ことを治療戦略と位置づけているが、その方策では永久にプラークが改善することはなく、「極めて後ろ向き」である。今回の研究で証明されたように、「プラークの改善」は「前向き」に目指すべきであり、そのためには「HMG-CoA還元酵素」を抑制するスタチン剤の不使用が求められる。

なお、このコエンザイムQ10(CoQ10)は肝臓内で「HMG-CoA還元酵素」などの働きで合成され、身体各所のミトコンドリア(小型の高性能発電機)内で、食事で得られた糖質や脂質などと、呼吸で得られた酸素を使ってATP(電力類似のエネルギー)を作り出すときに重要な働きをしている。

スタチン剤は肝臓で「HMG-CoA還元酵素」を抑制し、LDLの合成を抑制するが、同時にCoQ10の合成も抑制する。

そうであるから、スタチン剤を服用するとQ10(CoQ10)が減少し、ミトコンドリアで糖質、脂質などは不完全燃焼に陥り、それらは体内に利用されないで残ることになる。

結果として、スタチン剤で糖質が余り、エネルギー代謝も低下するので糖尿病になるリスクが高まり、スタチン剤で脂質が余り、エネルギー代謝も低下し、余った糖質も脂質に変換され、益々プラークが溜まりやすくなる。

スタチン剤を服用すると、エネルギー代謝が低下するので、「元気が出ない」・「倦怠感を覚える」などの副作用が自覚症状として現れ易くなる。

また、CoQ10は強い抗酸化力があるとされているので、CoQ10の低下は脂質の酸化を助長させ、プラーク堆積の方向へ加速するとも考えられる。

さらに、スタチン剤は免疫抑制作用があるといわれているが、プラークを貪食して除去する役割もある免疫細胞のミトコンドリアまで機能低下に陥り、その活動を抑制しているとも考えられる。

これらの想定可能なメカニズムを反映して、
臨床においてはスタチン剤を長期服用することによって、血管内のプラークはむしろ蓄積すると いう結果が出ている(動脈硬化の未来塾 68)
また、スタチン剤を中止した途端にプラークの改善が速やかになった事例も珍しくはない(動脈 硬化の未来塾 52)

スタチン剤と頸動脈のIMT(中膜-内膜肥厚)mmに関しての報告は、日本国内の他施設共同試験であるJART試験(Circ J.2012;76:221-9)の延長試験結果の報告(Int Heart J 2014;55:146-152)がある。この試験は、ロスバスタチンとプラバスタチンとの効果の違いを検討した試験である。

延長試験の結果では、頸動脈の平均IMT(肥厚の程度にもよるが、いわゆるプラーク)に関して、ロスバスタチンでは1年を経過(97例)した時点ではIMTの肥厚が平均で+0.0088(-0.0102〜+0.0277)mm、 2年を経過(45例)した時点では-0.0073(-0.0396〜+0.0250)mmであった。
プラバスタチンでは、1年を経過(89例)した時点では、IMTの肥厚が平均で+0.0453(+0.0224〜+0.0681)mm、2年経過(47例)では+0.0511(+0.0075〜+0.0947)mmであった。

ロスバスタチンの2年経過した群で検討しても、服用前とのIMT比較での有意さは認められていない。

この結果は、スタチン剤を服用しても、臨床に役立つレベルの有意なプラーク退縮は得られない、という結果である。

我々は最近まで、「コレステロールが下がる!」 という結果のみを重要視し、補酵素である「HMG-CoA還元酵素」の重要な働きを阻害することによるマイナス面を全く考慮していなかった。

今後は臨床的な分野においても、生体内の酵素や補酵素の役割に注目した研究が必要と思われる。

3) 腎機能の改善に関して、今回はCr1.10以上の3例は、3例共に改善したが、この研究以前の研究でも、EPA&RAP食でCrが改善することを掲載しており(動脈硬化の未来塾 34)、慢性腎臓病も減塩なし、蛋白制限なしのEPA&RAP食で治療できる可能性が示唆された。腎臓専門医の方による追試を期待したい。

4) RAP食の「摂取すべき食品」の項目で、各種の発酵食品は非常に重要な役割を果たしていることが判明した。なお発酵食品以外で、明らかにプラーク改善に関与する食品と考えられたのは「トコロテン」「果汁なしでトマトベースのミックス野菜ジュース」であった。

5) 進行した動脈硬化性疾患に対してiPS細胞を用いるなどの最先端治療で神経などの機能を復活させるなどの最先端医療は賞賛されるべき価値がある。しかし、最も期待されるべき予防医学に関しては、昨今の認知症や脳梗塞・心筋梗塞・大動脈解離の増加等々を鑑みれば、今までの健診はほとんど役に立っていないといっても過言ではない。今後は脂質異常症の健診ではなく、脳梗塞や脳出血・高血圧などの根本原因(動脈硬化の未来塾 56)であるプラークの治療を目指して、8カ所の血管エコーを主体とした健診へとシフトすべきであろう。

さらに、血管エコー所見を駆使したプラーク治療が新しい健診の受け皿となって予防医学の中核と位置づけられ、多くの施設で普及しなければならない。しかしながら、その診断・治療法が経営を圧迫する事のないように、保険医療環境の整備が早急に望まれる。

結論:

1)スタチン剤offで、EPA製剤を服用しながらRAP食を守れれば、ほぼ100%の動脈硬化(プラーク)は改善:治療できる
2)今回のプラーク退縮の結果を踏まえて、当院のRAP食の設定は、現時点では少なくとも正しかったと思われる。


コメント:動脈硬化(プラーク)が治るという臨床経験を積んで・・・・思うこと

1)今までの動脈硬化の医療といえば「守りの医療」でした。自分ではどうすることもできず、ただ動脈硬化の危険因子とされてきた高血圧、糖尿病、高コレステロール症・・これらは医師にお任せで・・肥満、塩分過多、喫煙・・これらに関しては・・いわゆる「食事や運動に気をつける」程度の努力を行い・・それでも認知症、脳梗塞、心筋梗塞、失明、腎不全(透析必要)はどんどん増え・・・現代人は「訳も判らず・・知らされず」生活習慣病にボコボコにされ続けているのです。

受け身のままで・・本当の原因を知らないままで・・「ふがいない気持ち」になりませんか?(自分自身も医師自身も明日は我が身)・・もう既存の考え方である現在の医学常識を盲信するのは限界ではないでしょうか。

今回の研究で、次々と押し寄せる血管病にボコボコにされっぱなしの皆様が、積極的に病気(動脈効果=プラーク)に向かって反撃できる確かな攻撃術を伝授できたと思います。 楽しくないですか〜・・自分の努力で動脈硬化が主な原因である不治の病気(動脈硬化の未来塾 7)を簡単にやっつけられるのですから。

2)EPA製剤は表向きには「TGを下げるなどの脂質改善薬」としての認可を受けているが、医療の現場では中性脂肪:TGなどのコレステロールを下げる働きよりも、作用は弱いけれども副作用の少ない抗血小板剤として・・つまり・・「血液さらさら効果」を目的として服用いただく場合がほとんどです。

ただ、この事をご存じではないDrや一般の方が、「コレステロールが下がらないので・・」と、EPA製剤(エパデールSやイコサペント酸エチル粒状カプセルなど)を中止される場合が珍しくありません。
RAP食をお守りいただく限り、LDLやTGが期待通りに下がらなくても心配無用です。TGが200以上で経過しても全く問題ありません(何かの体質かも)。それでもプラークは低下(動脈硬化は改善)します・・・というのが・・今回の研究から判明しました。

3)ラックビー微粒N:2.0、2x(ビフィズス菌製剤)を多くの症例で併用していますが、他の類似菌製剤との効果の比較検証はなされていません。他の製剤であれば、なるべく細粒・粉末剤を推奨しています。

余談ですが:
<バラ栽培について>

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、私は16年間におよぶ試行錯誤の末に、完全無農薬で化学肥料を一切使用しないバラ栽培法のコツを解説した本「バラのお悩み解決帖」を出版しました(2016年4月)。 害虫&益虫などのライフスタイルを詳細に研究し、虫や病気の早期発見・早期治療の方法や、防ぎきれない病気であれば被害を最小限度に止める秘策などを記載した内容となっています。バラ栽培には消毒は不可欠という従来の常識を覆した本なのです。

でも、消毒しないと葉が落ちやすいので、バラの成長が遅くなります。そのハンディキャップを補うために酵母菌他の、各種微生物の力を借りてパワフルな肥料:「夢油肥」を開発しました。

今まで食用廃油を発酵させる技術は世の中にありませんでしたが、実験の繰り返しの末に、独自に2段階の発酵技術を開発し、食用植物油と油粕を同時に完全発酵(無臭)させた肥料です。自作できますが、通販でも購入出来ますのでぜひお試し下さい。

バラの葉やツボミを食べる虫を害虫と呼びますが、害虫ではなく草食虫なのです。
一方で、害虫を食べる虫を益虫といいますが、益虫ではなく肉食虫なのです。人間が勝手につけた害虫・・・あれ!? LDLを悪玉コレステロールなんて呼び捨てにしていませんか。

LDLを下げる薬(スタチン剤)をヒーロー扱いするためにLDLを悪党呼ばわりしたかったのでしょうか、巧妙に計算されたキャッチコピーでした・・・・。

「コレステロールは薬で下げなきゃいかん!動脈硬化は脂質異常や高血圧が原因だ!」との信念をお持ちの先生にとって、スタチン剤は今でもヒーローです。老婆心ながら、「2010年以前の私」を見ているようで・・その先生御自身の健康がとても心配になります。ぜひ当院へ受診ください。

<「奇跡のリンゴ」を読んで思うこと>
農業のための農薬を使う人達からすれば、農薬は害虫退治、病原菌退治のヒーローですよね。特に昔の食糧難の時代は確かにそうでした。
でも、そのヒーローは害虫も益虫も土壌菌も住めない環境にしてしまいます。

今、バラ科であるリンゴ栽培に「奇跡のリンゴ」の波紋が少しずつ広がり、稲作での自然栽培米が人気を集めているとか。
農薬も肥料も使わないと、土中のチッソを土壌菌が食べて栄養に変えてくれて稲が元気に育つらしいです。

一方で、マクロファージの働きを抑制していると考えられるスタチン剤を使わないと、血管内のプラークをマクロファージが元気よく沢山食べてくれる・・だから、プラークが減る(動脈硬化が治る)のですが、「奇跡のリンゴ」の奇跡を興すメカニズムの話と非常に良く似ています。

「スタチン剤を使わないで、中止して動脈硬化を治す」=「農薬・肥料を使わないで、中止して美味しいリンゴを作る」

どちらも・・最初は「暴挙」と呼ばれても仕方のない発想です。でも・・どちらも奇跡的な結果を出せました。でもその奇跡が毎年続くと奇跡ではなくなります。

リンゴ収穫も動脈硬化改善も毎年同様の作業で同様の結果が出ています。なお、当院の治療ケースは(動脈硬化の未来塾 38)でご覧いただけますが、毎年少しずつプラークの改善スピードがアップしているのにお気付きでしょうか。RAP食の度々の修正による効果が出ているものと思われます。

リンゴは農薬を使っても作れます。 リンゴを食べないでも健康に支障はありません・・  でも・・
スタチン剤を使って、動脈硬化(プラーク)が治せているのでしょうか? 一度きりの健康な身体はとても大切です。

おわりに:
1)多くのDrがこの研究を真摯に受け止めていただければ、多くの患者さん方の将来不安・寝たきりへの恐怖心・未病が消えることでしょう。

2)血管病での「血液サラサラ薬」、高血圧での「降圧剤」を服用中の方は、決して自己判断で「血液サラサラ薬」や「降圧剤」を中止しないようにしましょう。
(私のサイトをご覧になって、全て判ったつもりでの自信過剰は禁物です)
「血液サラサラ薬」を自己判断で止めると脳梗塞・心筋梗塞など、及びその再発など、
「降圧剤」を自己判断で止めると脳出血・くも膜下出血などの重大な事態およびその再発を招く恐れがあります。

参考までにスタチン剤の薬の名前です

  1. プラバスタチン(商品名:メバロチン)
  2. シンバスタチン(商品名:リポバス)
  3. フルバスタチン(商品名:ローコール)
  4. アトルバスタチン(商品名:リピトール)
  5. ピタバスタチン(商品名:リバロ)
  6. ロスバスタチン(商品名:クレストール)

2017年5月9日 記載

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