久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
過去に「心療内科」や「神経内科」へ紹介された既往のある人・・・実は・・動脈硬化(プラーク)による脳血流障害による・・一過性全健忘の症状と思われた症例を呈示します。
プラーク退縮に伴って、全ての症状が消失しました。プラークを治せれば・・ですが、「心療内科」・「神経内科」へ通院中の方の何%かは、RAP食で体調が改善するでしょう。
(2017年12月25日追記:プラークの主な原因は1年半前からの「毎日のオリーブオイル摂取」と思われます:詳細は後述)
2009年11月 72歳時、ご主人(64歳で心筋梗塞:冠動脈バイパス手術)の介護中に、夜間に動悸+にて救急搬送・・心房細動の診断・・利尿剤の点滴など・・内服なし。
2010年11月ご主人が他界後・・・気分不良が続き、夜間の動悸:頻脈で救急搬送・・・心房細動+・・ストレスが原因だろう・・で、「心療内科」へ紹介され・・眠剤服用開始
(2017年12月の問診からの事実確認)
2012年11月頃より、朝食として、オリーブオイル大さじ1杯をトースト1枚につけ、更にオリーブオイルで炒めた野菜をトーストにタップリのせて食べる事を毎日の習慣にしていた(膝痛に良いと聞いたから)。
2014年5月 「カレーを作ってみんなで食べたが、誰が作ったか判らず、食べたのかも判らなかった」 「何度も同じことを聞いていた」その日は半日、“頭がボー”としていた。4日後に総合病院へ受診すると、総合病院の「神経内科」へ案内され、MRI(脳)では異常なしと言われた。特に指導はなかった。
2014年11月 体調不良が持続するために・・当院受診
<主訴>“朝のふらつき”+、“足の冷感”+、“寝付きが悪い”+、“気分不良”+
問診から半年前の記憶障害は「一過性全健忘」症状が疑われた。
<8カ所の血管エコー:各部位の最大肥厚プラーク>
腹部大動脈:A-max=2.05mm 左右大腿動脈:F-max=1.38mm
右鎖骨下動脈:S-max=3.94mm 左右頸動脈:C-max=2.37mm
各部位の総和:T-max=9.74mm
脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4(0〜4)
<採血データ他>LDL=183 TG=131 HDL=54 BMI=18.0(痩せ型)
食習慣点数=119 野菜大好き 肉・甘い物・揚げ物=普通 運動=良くしている
<治療>:RAP食+抗血小板剤など (スタチン剤:不使用・・これは重要事項 動脈硬化の未来塾 68)スタチン製剤でLDLを下げる・・52)動脈硬化の治療にスタチン剤・・)
・特に、オリーブオイルの生での摂取、野菜炒めでの摂取を全面的に中止
3年後(2017年9月)
1)プラーク退縮の経過
右総頸動脈=(2014年11月) 2.37 mm→(2017年9月)1.82 mm プラーク退縮
右鎖骨下動脈=(2014年11月) 3.94 mm→(2017年9月)2.70 mm プラーク退縮
2)症状の経過(→ 3年間で )
朝のふらつき+→0 足の冷感+→0 寝付き悪い+→0 気分不良+→0
動悸+→0 心房細動→再発(-) 一過性全健忘→再発(-)
1)御両親、叔父様・叔母様に、気分不良・寝付きが悪い・動悸(不整脈や頻脈)
・一過性全健忘・・などが、“自律神経失調やストレスが原因“との診断で、「神経内科」「心療内科」へ通っている人はおられませんか? MRIや頸動脈エコーだけではなく、身体各所の血管エコーをしていただきましょう。なお、「一過性全健忘」は一過性脳虚血発作(TIA)の一つの症状と考えることも可能です。
2)高齢者の不整脈・発作性頻脈・心房細動は血管プラークが危険な状態であるとの認識が必要です。
2017年11月30日記載
以下追記(2017年12月25日)
この症例の一過性全健忘の原因は「プラーク」と考えられますが、2014年11月(初診時)には、この沢山堆積したプラークの原因が全く判りませんでした。
つまり
1)食習慣点数=119点 (特にプラークが堆積する点数ではない)
2)魚:好きで、甘い物・肉・揚げ物の好みは普通
3)野菜:大好き
4)酒は飲まない・喫煙歴(-)
プラークが溜まる要因が全く見あたらなかったのです
その後の問診で、このプラーク(急速に堆積したと思われる)の主な原因は「オリーブオイルの毎日の摂取」という食習慣であると推察可能です。
実は、この患者さんが初診で受診された2014年11月頃は、植物油の食習慣に関して・・・「ドレッシングはノンオイル?・オイル?ですか」程度しか問診していませんでしたし、魚油(青魚や白身魚でも)がプラークの原材料になり得るとは思ってもいませんでした。
朝食に関しては2012年11月頃から、「毎朝トースト&野菜」とだけ初診時の問診で記録。
トーストに何を付けるかなど・・聞いていませんでした。
最近、改めて植物油に関して問診すると、
2012年11月頃よりオリーブオイル摂取が「膝痛に良い」という情報を聞いて・・「毎朝トースト1枚にオリーブオイルを大さじ1杯つけて、さらにその上にオリーブオイルで炒めた野菜を乗せて食べていた」つまり、当院受診の2014年11月までの2年間はこの食習慣を続けていたことになります。オリーブオイルの毎日摂取は極めて危険な場合がありますので御注意下さい。(動脈硬化の未来塾 54)オリーブオイルは動脈硬化を進行させる)
ただしこの方は2009年11月に発作性心房細動を来しており、この時点でも、ある程度のプラークが血管内に堆積していたと考えられますが、その“ある程度蓄積していたと思われるプラーク”の原因は高脂質魚の過食が原因と考えられます。
“青魚が健康にいい”は迷信です(動脈硬化の未来塾 53)魚の過食は動脈硬化を進行させる)。
この症例の方は魚が好き(本当は大好き?)で40代より毎日1回は魚料理でした。例えば「サンマの佃煮1回/W、鮭3〜4回、太刀魚1回W、鯛1回/W」など。
ちなみに100g当たりの脂質は、サンマ24.6g、鮭4.1〜4.5g、太刀魚21g、養殖鯛11g、天然鯛6g。 いずれも脂が多い魚(高脂質魚)に相当します。
2009年の発作性心房細動の主な原因は、高脂質魚の頻回摂取が原因と思われます。
ちなみに、治療食としての動物性蛋白質を摂取する際は、魚または肉100g当たり2.0g以下の脂質しか含んでいない魚または肉をチョイスして下さい。その際は魚だけ、肉だけでも構いません。どちらも生物進化学から観れば、近縁の動物ですから動物性の飽和脂肪酸の量など、科学的にはあまり違いはないのです。
その“高脂質魚の過食が原因”で、ある程度蓄積していたと思われるプラークを、急速に進行させた原因が、“多めのオリーブオイルを毎日摂取”という食習慣と考えられます。
そして、その食習慣を1年半続けた後に・・「一過性全健忘」を発症させてしまった・・と考えるのが自然です。
<今回の症例をまとめて解説すると>
“青魚は健康にいい・・”や“オリーブオイル・エゴマ油・アマニ油・ココナッツオイルなどが健康にいい・・”などを信じて頻回に摂取していると・・・「脳梗塞」、「一過性全健忘」、「認知症」など・・とんでもないことに・・・なります。
災いはプラークと共に・・「知らないうちに」・・「忘れた頃に」・・やって来る。
その災いを、MRIよりも遙かに早く探知(8カ所の血管エコー)し、RAP食を励行して、この症例のようにプラークを減らせば(動脈硬化の未来塾 38)頸動脈などの血管プラークの治療・・)、血管病による様々な災いを取り除く事が誰でも可能です・・その方法論が私のホームページには記載してありますので、じっくりとお読みいただければ幸いです。
<余談ですが・・・>
この方の病気の原因は「脳動脈のプラーク」でしょう。そのプラークの原因は「毎日のオリーブオイル」です。でもオリーブオイルを毎日飲む動機になった原因は「慢性の膝痛」です。その膝痛の原因はご主人の「介護」です。介護が必要になった原因はご主人の心筋梗塞です。
つまり、既にお亡くなりのご主人が「心筋梗塞」にならなければ、奥様は長らく健康でいられたに違いありません。
ご主人の心筋梗塞の原因である「食・生活習慣」が奥様への諸々の体調不良となって降りかかり、RAP食でプラークが改善しなければ、奥様は被介護生活者となって子供達への大きな負担になっていたことでしょう。
不健康・不幸の家族への伝播は、原因追及してこそ絶つことが出来ます。
血管病(動脈硬化症)は、薬や医学では絶対に治せない病気というよりも、“根本原因(プラーク)の原因(食習慣)を詳細に調べないで迷宮入りする事件”といっても差し支えありません。・・・この症例も、病気にさせた犯人を特定できずに迷宮入りの事件になるところでした。
動脈硬化の犯人は、“塩分”でも“高血圧”でも“悪玉コレステロール”でも“加齢”でもありません。犯人は“プラーク”です。その犯人の黒幕は“味方みたいな顔をして近づいてくる食習慣”です。多くの迷宮入り寸前の事件の犯人が大部分判明していますので、今後は誰でも“自分自身の事件”を解決する事が可能になるでしょう。
以上 2017年12月25日 追記で記載