久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
やっと頸動脈エコーでの健診が広まりつつありますが・・「血圧が正常」・・「頸動脈プラークは問題なし」・・その検査結果に安心して・・肉好き・揚げ物好き・野菜のオイル炒め料理・アルコール多飲生活などを今まで通りに続けると→頸動脈以外の脳動脈や冠動脈のある場所ではプラークが溜まり続け→脳梗塞・心筋梗塞は時間の問題へ。
そんな絵に描いたような動脈硬化が進行中の男性(症例1)を見つけました。
我が身に置き換えて教訓にしましょう。
(脳梗塞は頸動脈プラークが剥がれて、脳動脈へ流れて脳動脈が詰まって生じる病気ではありません。もしそんな説明があるなら矛盾だらけの仮説に過ぎません。頸動脈プラークに関する具体的データ動脈硬化の未来塾 31)と脳梗塞・心筋梗塞に至る合理的な仮説は動脈硬化の未来塾 11) 動脈硬化の未来塾 7) 動脈硬化の未来塾 47)をご覧下さい)
なお、動脈硬化の未来塾 11)は修正する必要がありますので近日中に全面改定致します
症例1の解説
かねてよりフォロー中の患者さんで、その食習慣は
食習慣点数949点(かなり高値)
肉:大好き、揚げ物:大好き、甘い物:好き、野菜:好きではない、魚:好きではない
喫煙歴++、アルコール飲酒++ 動脈硬化になる(プラークが沢山溜まる)のは時間の問題でした。
でも・・・
2008年6月 (50歳時点)頸動脈&右鎖骨下動脈のみを血管エコー(この時点では8ヶ所の血管エコー法は開発されていなかった)右鎖骨下動脈IMT=1.8mm 右頸動脈分岐部IMT=0.9mm 左頸動脈分岐部IMT=1.1mm 血小板が低値でしたので特に食習慣の指導はしていない。IMT=プラークの高さ(mm)
(この時点で8ヶ所の血管エコーをしていれば、早期に動脈硬化を指摘し、確実な食事指導を行えたでしょう。本人がその指導を守るかどうかは別にして・・・)
2011年1月に2年半ぶりに受診。右鎖骨下動脈IMT=1.6mm 右頸動脈分岐部IMT=0.7mm 左頸動脈分岐部IMT=1.0mm 特に大きな変化なし。でも、左右の大腿動脈と腹部大動脈が問題でした。右大腿動脈IMT=2.5mm 左大腿動脈IMT=2.5mm 腹部大動脈=3.6mm でした。
つまり、頸動脈プラークはほぼ問題なくても脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4(0〜4)でした。
血圧=175/120と高値でしたので降圧剤も処方。
当時の食事指導(肉や甘い物や揚げ物などを控えるように・・)を行いましたが・・・他病の治療を他病院にて受けたために・・その後の経過は不明に。
2017年11月に6年半ぶりに当院受診。
この約7年間に自覚症も特になく、血圧は降圧剤で最高血圧が140以下で安定中。コレステロールも図のごとく低値で推移、体重もBMI=22前後で推移。頸動脈のプラークは、右頸動脈分岐部IMT=0.66mm 左頸動脈分岐部IMT=0.97mmとやっぱり進行していないものの・・・・でも・・・・・右大腿動脈IMT=2.98mm 左大腿動脈IMT3.44mm 腹部大動脈=5.00mm とかなり頸動脈以外の血管では・・動脈硬化が進行していました。
7年前に指導した当時のRAP食はほとんど守られていませんでした。
今後も同様の食習慣なら・・2〜3年以内(60歳までに)に脳梗塞・心筋梗塞で辛い目に合うところでした。
1.頸動脈エコーだけでは、人の動脈硬化は軽々しく判定できない。
(保険がきかなくても頸動脈以外の血管エコーも必要)
2.LDLや高血圧や体重が安定していても、血管エコーは必要。
(LDLや高血圧が薬で安定しても・・安心できる状況ではないかも)
参考までに頸動脈以外の動脈のプラーク(mm)の意味するデータをお知らせします。
現在の医学はまだプラークの危険度を狭窄%で表示する時代です。プラークの高さ(mm)でのリスク判断が疎かにされているのが・・・現在の医療現場の現状です。
以下のデータは非常に貴重ですので、血液サラサラ薬を処方いただいていない場合は、ぜひご自身のプラーク(高さ)を当院のリスク判定図(動脈硬化の未来塾 31)に当てはめて、EPA製剤(エパデールS)やEPA+DHA製剤(ロトリガ)などの処方が可能かどうか担当医にお尋ねください。
以下のデータは真実ですので、担当医に呈示していただいても差し支えありません。
ちなみに
脳梗塞症例の平均では
心筋梗塞症例の平均では
冠動脈ステント留置例(心筋梗塞に至る前)の平均では
くも膜下出血症例の平均では
脳出血症例の平均では
くも膜下出血の多くは脳動脈瘤と思われますが、脳動脈以外の動脈のプラーク堆積の状況から・・その脳動脈瘤の原因はプラーク堆積が関与していると言えるでしょう。
平均はあくまで平均ですので、命が関わる事ですから、平均値で対応してはいけません。
動脈のいずれかのプラークが2.0mmを超えれば・・・危険性は増すと考えましょう。
私の基準では概ねリスクレベル2以上に相当します。
<頸動脈プラーク=**mm の意味するもの>
1)男女別に脳梗塞症例を集計すると、男性よりも女性の頸動脈プラークはかなり低値であることに気付きます。
2)女性の場合は、頸動脈プラークが1.7mmを超えた脳梗塞リスクレベル=2から緊張感を持って要注意です。 女性におけるこの事実は医学界ではまだ知られていない事実です。
3)女性の脳梗塞予防のためには、頸動脈以外の部位の動脈を観察する必要がある。
「頸動脈プラークとは?その意味する事?治療・対策は?」に関する疑問の全てにお答えできるデータを動脈硬化の未来塾 31)に掲載していますので、参考にして下さい。
2018年1月4日 記載
真島消化器クリニック