脳梗塞・心筋梗塞の予防法

エパデールS(成分:イコサペント酸エチル)服用での副作用・安全性情報

EPA製剤(イコサペント酸エチル粒状カプセル)であるエパデールSは高脂血症の脂質改善、閉塞性動脈硬化症の症状軽減を目的に保険薬として認可されています。

なぜ・何のためにエパデールSを服用?

経験ある臨床医は中性脂肪を下げる目的ではなく、最も安全な抗血小板剤としての働きを重要視して処方されています。ですから、プラークが著明に改善して脳梗塞の危険が無くなるまで、エパデールSを自己判断で中止してはいけません。1週間も休薬すると、エパデールSの効果はほぼゼロになります。
自己判断でエパデールS(900)2,2xの服用を止めて8日後に半身麻痺になり、お店をたたんだ方もおられます。(血管エコー実例・研究をビジュアル解説 20)

医大などの臨床現場では、EPA製剤には、弱いけれども明らかな抗血小板剤(血液サラサラ)効果がある・・として認知されています。

抗血小板剤としてのエパデールSの血液サラサラ効果(血小板が血管の壁や他の血小板とくっつきにくくなる効果)と言ってもどの程度か判らない方も多いと思いますので、実例でお話しします。

1. 料理の際に度々包丁で指を切って怪我する方がおられます。エパデールS(900)2,2xを服用開始してしばらくして、包丁でいつものように指に切り傷を負い、バンドエイドで圧迫していましたが、いつまでも血が滲んでくる・・・いつもなら直ぐ止血するのに・・・ との相談がありました。やはり、ほんの少しだけ血が止まりにくくなります(血液が血管の狭いところを流れやすくなります)。

2. 今まで約10年間、エパデールS(900)2,2xを服用中に脳梗塞になられた方は数名おられますが、いずれも後遺症もなく過ごされています。エパデールS(900)2,2xを服用していなければ、恐らく多くの方が障害の残る脳梗塞になられていることでしょう。

抗血小板薬とは?(血小板の働きを抑える薬)・・・・その具体的な解説

血小板とは、傷ついた血管の穴から血が漏れている際に・・血小板が傷ついた血管壁にくっついたり、血小板同士がくっついたりして、血の塊(血栓)を作り、その血管の穴を塞いだりして血を止めてくれる小物体です。また、血管の内腔が極小レベルに狭くなっている場合も血の塊が出来やすくなり、その部分で血管が閉塞します。

抗血小板剤は、狭くなった血管内腔に血の塊を生じさせないためのお薬なのです。
ですから、上記の実例が示すとおりに、自己判断で服薬を止める事は非常に危険です。

脳梗塞後に、バイアスピリンやクロピドグレル、シロスタゾールなどの抗血小板剤を服用中であっても脳梗塞が再発するのは、脳血管が完全に閉塞した証拠です。
 なぜなら、抗血小板剤は脳血管の内腔に極わずかの一筋の穴が開いているときは、流れをスムーズにする効果を期待できますが、物理的に脳血管がプラークで完全に閉塞すれば抗血小板薬でも役に立たないのです。

脳梗塞・心筋梗塞の最高の予防法は、今あるプラークを減らすことです。

エパデールS(900)2,2xやバイアスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールを飲んでいても食事を注意しなければ脳梗塞・心筋梗塞の再発は時間の問題です。

<エパデールSの副作用>

エパデールSは非常に副作用の少ない薬ですが、
2018年4月13日までの自験例ですが、エパデールS 服用例の3235例中41例(1.27%)に何らかの副作用を認めました。定期的な採血検査をしないで服用し続けるのは問題です。

上記の3235例におけるエパデールSの服用内容の内訳は
1)900mgx2/日=2208 例、 2) 600mgx2/日=258例、 3) 600mgx3/日=53例、 4) 900mgx1/日=37例、5) 600mgx1/日=39例、6)その他640例でした。
RAP食でも便秘する場合は便秘薬の服用をご検討下さい。

なお、便秘以外の多くの場合では、服用中止が必要です。

特に、皮下出血やその他の出血例は、EPAに対するアレルギー反応ですので、他の抗血小板剤に変更していただいても、特に出血などの問題は生じませんが、担当医にご相談ください。

**ロトリガ粒状カプセルも抗血小板薬ですが、EPA製剤と同様の副作用が出現すると思われます**

<副作用の内訳です>

1)便秘
11例(0.34%)
2)皮下出血(打撲後を含む)
5例(0.15%)
3)胃部(腹部)不快感例
4例(0.12%)
4)掻痒(かゆみ)
6例(0.19%)
5)湿疹
3例(0.09%)
6)肝機能障害**
3例(0.09%)
7)歯茎出血
3例(0.09%)
8)貧血*
2例(0.06%)
9)眼球結膜出血
1例(0.03%)
10)頭痛
1例(0.03%)
11)徐脈(脈が30台)/動悸
1例(0.03%)
12)口内炎
1例(0.03%)

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計 41例(1.27%)

<詳細情報>(*貧血症例 *肝障害症例)

*貧血

1)症例1. 67歳女性 エパデールS(900)2,2x服薬にて
赤血球355万(服薬開始)→328万(服薬から5ヶ月後)→261万:HCH=33.7pg(正常)(服薬から6ヶ月後)中止→355(中止後3ヶ月目)
2)症例2. 66歳女性 エパデールS(900)2,2x服薬にて
赤血球365万(服薬開始)→318万(服薬から1.5ヶ月後)→236万:MCH=44pg(高値)(服薬から5ヶ月後)中止→431(中止後2ヶ月目)
(この症例はスタチン剤であるマイバスタチンでも貧血の既往有り)

エパデールS服用開始から6ヶ月は貧血に注意!(正色素性〜高色素性)

副作用(貧血)関連事項:
a)エパデールS(900)2,2x服用開始で低色素性の貧血が進行し、胃ガンからの出血による貧血と判明した1例を経験。

エパデールS(900)2,2xで胃ガン表面からの出血量が多くなり、貧血が進行して胃ガンが発見されました。
エパデールS(900)2,2x服用開始で、半年以内にHb(ヘモグロビン)やRBC(赤血球数)が低くなってきたら、胃ガン・大腸ガンなどからの出血も考えられます。

b)バイアスピリン(100)1Tを服用中の場合は、6ヶ月以内にWBC(白血球) Plt(血小板) RBC(赤血球)のいずれかで低下すれば、重篤な病気:「再生不良性貧血」かもしれません。まれですが、2症例を経験しました(薬の説明文書の副作用欄にも記載有り)。 (バイアスピリン(100)1T服用中に、胃ガンや大腸ガンからの出血、および胃や小腸に潰瘍ができて貧血になる場合がありますが、このような場合は血小板や白血球は低下しません)

**肝障害

1)症例1. 58歳女性 エパデールS(900)2,2x服薬にてGPT 47→78(服薬開始14日後)にて服薬中止→4ヶ月後(900)1P/日で再開→103(再開4ヶ月後に上昇)なので服薬中止→87(服薬中止後6日で低下)
2)症例2. 53歳男性 エパデールS(900)2,2x服薬にて
GPT 16→42(服薬46日後)→127(服薬3ヶ月後:医大で採血:服薬中止)→経過不明
3)症例3. 50歳女性 エパデールS(900)2,2x開始から1年半後にGPT13→(2ヶ月後)GPT 34と経度上昇→GPT304に急上昇(GPT34に上昇して50日後)(服薬中止)→GPT72(中止後7日で低下)

総合コメント:

・EPA製剤には、冠動脈攣縮抑制作用(安静時狭心症の予防効果:動脈硬化の未来塾 41))があるなど、筋肉の緊張を和らげる働きがありますので、その作用が大腸の動きも抑制する場合があり、便秘になりやすいと思われます。
便が非常に硬い人、元々がんこな便秘状態の方は、予め便秘薬をEPA製剤と併用するのが望ましいでしょう。
RAP食で便秘薬の必要がなくなれば便秘薬を終了可能です。でも、RAP食が進化した現在では、副作用としての便秘は激減しました。

・動悸を伴う徐脈(脈が遅くなる)の1例も動脈の攣縮抑制作用が強く働いた結果では?と考えられます。

・口内炎の1例は青魚にアレルギーがある方でした。

過去の青魚アレルギー歴(蕁麻疹、湿疹、他など)がある方は、エパデールをいただく際に注意が必要です。

画像のない文章は疲れます

次の写真は私の診察室の2階のベランダからの風景です。
知識を新たに発明すれば・完全オーガニックでここまで出来るのです。
人の動脈硬化を治すのも、バラの無農薬栽培も・・従来の出来合の知識では実現不可能です。

動脈硬化症のスタチン剤使用≒バラ栽培の農薬使用 ・・構図がとても似ています。

19年の歳月を費やして研究・開発したオーガニック栽培法で育てた香り豊かなオールドローズ and イングリッシュローズ

1階の診察室の出窓からの風景です。時間と興味がある方は私のバラの書籍をご覧下さい。



2018年4月17日 記載
真島消化器クリニック

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