脳梗塞・心筋梗塞の予防法

石灰化した血管プラークをRAP食で改善させた症例の検討。スタチン剤は不使用。

<症例報告>
「この研究に関して、著者が開示すべき利益相反関係にある企業などはありません」

はじめに
石灰化した動脈硬化(プラーク)は改善する事はない。今まで、医学界で固く信じられていたことですが・・・最近の私の著書にも石灰化が改善(退縮)した症例を記載しましたが、「血管が石灰化したら治らない」・・それは迷信であることを、ここに改めて実際の臨床例でご確認下さい。

硬くなっていない(石灰化のない)普通のプラークでさえ、まだ「プラークは治る事がない」と、多くのDrに信じられているのが2018年6月時点での現状です。

実際の臨床例に於いて(動物実験ではなく)、石灰化した動脈硬化が改善したビフォー・アフターの証拠写真の掲載は私の書籍(「脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因」(幻冬舎、2018年4月)に掲載の写真が最初かもしれません。

ここではそれらの症例が“偶然の治療結果”ではないことをご理解いただければ幸いです。

ここに掲載した写真は、全ての人に“希望の光”となって“勇気と安心感”をもたらすに違いありません。不治の病とされている動脈硬化疾患で悩んでいる人にとっては“心を癒す写真”だと思います。


<症例1> 71歳 男性

臨床経過:
2013年3月 冠痙縮性狭心症で救急搬送
2014年4月 顔面神経麻痺&高血圧指摘 降圧剤開始
2014年11月 MRI(無症候性脳梗塞)
2016年1月 初診 数年前よりEPA製剤(900)2p/日を服用中にて、ビフィズス菌製剤2g/日を開始。RAP食を指導。初診時の8カ所の血管エコー所見:(観察したプラークを中心に記載)
腹部大動脈IMT=3.98mm(石灰化++)  左頸動脈分岐部IMT=2.42mm
2018年2月 腹部大動脈IMT=2.60mm(退縮) 左頸動脈分岐部IMT=1.63mm(退縮)
(降圧剤の増減は未確認)

備考:この症例に関するコメントは後述の<考察>に記載しています。


<症例2> 58歳 男性

臨床経過:
2001年8月  高血圧+にて 降圧薬開始:バルサルタン(20)1,1x+アムロジピン(2.5)1,1x
2013年11月〜 奥様が当院でRAP食指導受けたために、奥様と同じ食習慣になる
2014年8月初旬 降圧剤の2剤共に中止。(中止は「血圧の下がり過ぎ」による主治医の判断)
2014年8月中旬 当院初診  BP=116/78 腹部大動脈IMT=3.17mm(石灰化++)
2015年11月 EPA製剤(900)2P/日, +ビフィズス菌製剤2g/日 開始(陳旧性脳梗塞所見+にて)
2018年2月 腹部大動脈IMT=2.79mm(退縮) *血圧低下はプラーク低下の一里塚

備考:消極的なRAP食を開始して9ヶ月で、血圧を下げる薬(降圧剤)の2種類の薬を担当医が中止を指示する程度に低血圧に(上の血圧が100以下に)なりましたが、初診時の腹部大動脈のプラーク(石灰化)は3.17mmもあり、まだ脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=3状態です。 これこそが根本的な高血圧対策なのです。

体操や運動などの後で、血管内皮細胞から緊急避難的に生体の防御機転であるNO(一酸化窒素)が放出されて血管が拡張し、血圧が低下しますが、それはその場しのぎの降圧方法です。

それらは根本的な高血圧の対策(プラークを減らす)にはなりませんので、くれぐれも安易な“血圧を下げる”情報を信じて継続するのは危険です。

一過性のNO放出による降圧に頼り過ぎて、降圧薬の服用タイミングが遅れると脳出血を招きかねません。


<症例3> 55歳 男性

臨床経過:
2012年4月〜 ロスバスタチン1Tを服用開始・・LDL低下して安心していたのに・・
2016年12月 頸動脈プラークを指摘される
2017年2月〜 ロスバスタチン服用を自己判断で止める(ロスバスタチン=強いスタチン剤)
2017年4月 当院初診 LDL=204 TG=200 HDL=46 Cr=0.77
EPA製剤(900)2P/日, +ビフィズス菌製剤2g/日 開始  (LDLは高いままで大丈夫です。スタチン剤は不要ですし、マクロファージなどの免疫細胞を抑制する効果もありむしろ逆効果)
腹部大動脈IMT=3.22mm(石灰化++)   左大腿動脈IMT=2.47mm(石灰化++)
右頸動脈分岐部IMT=1.48mm(石灰化)   左頸動脈IMT=1.17mm
2017年10月     LDL=167 TG=115 HDL=50 Cr=0.78
2018年4月 全ての観察ポイントでプラークが退縮! 石灰化部も!
腹部大動脈IMT=2.46mm(退縮)   左大腿動脈IMT=2.26mm(退縮)
右頸動脈分岐部IMT=1.34mm(退縮)   左頸動脈IMT=1.03mm(退縮)

備考:この症例に関するコメントは後述の<考察>に記載しています。


<症例4> 77歳 男性

臨床経過:
1972年2月 高血圧にて服薬開始(33歳頃)アルコール多飲++(20〜30歳頃まで)
2003年11月 痛風発作
2008年1月 身体の“フラ〜感”出現(MRIで脳梗塞と診断)
2012年頃〜脊柱管狭窄症+
2016年12月 当院初診 左腸骨動脈IMT=4.45mm(石灰化++)
             EPA製剤(900)2P/日, +ビフィズス菌製剤2g/日 開始
2017年11月 左腸骨動脈IMT=2.38mm(退縮) 高血圧薬:減量あり(数ヶ月前に)
        数ヶ月前から高血圧薬が減量になっています。


<症例5> 74歳 男性

臨床経過:
以前より当院でフォロー中
2012年1月 右鎖骨下動脈IMT=2.8mm(石灰化++)肉:嫌い 魚:大好き 甘い物:大好き
EPA製剤(900)2P/日, +ビフィズス菌製剤2g/日 中
2017年4月 右鎖骨下動脈IMT=3.55mm:悪化!(石灰化++) 左頸動脈分岐部IMT=2.18mm
RAP食再指導(積極的なRAP食ではなかった)
2018年2月 左頸動脈分岐部IMT=2.11mm (退縮傾向+)
2018年5月 右鎖骨下動脈IMT=3.05mm(退縮)

備考:2012年から2017年にかけてプラークレベルが悪化したので、最新のRAP食に真摯に向き合い、魚の脂質に注意したこともプラーク改善の要因です。2012年当時のRAP食は青魚を奨励していました。


<症例6> 59歳 女性

臨床経過:
2012年8月 スタチン剤(アトルバスタチン5mg)1T開始
2014年2月 スタチン剤(アトルバスタチン5mg):中止
2014年4月 初診
       右腸骨動脈IMT=2.34mm (石灰化++)

       右鎖骨下動脈IMT=4.62mm
        EPA製剤(900)2P/日, +ビフィズス菌製剤2g/日 開始
2018年2月  右腸骨動脈IMT=1.38mm (石灰化:退縮)
        右鎖骨下動脈IMT=3.53mm(退縮)

備考:RAP食で、石灰化のないプラークが退縮(改善)するのは奇跡ではなく、普通です。


<症例7> 71歳 女性

臨床経過:
2015年8月 頃〜“朝のフラー感”が出現(週に1〜2回程度)
2016年2月 初診 右鎖骨下動脈IMT=4.27mm(石灰化++)腹部大動脈IMT=4.87mm
(石灰化++)   EPA製剤(900)2P/日, +ビフィズス菌製剤2g/日 開始
2017年9月 食事のみでLDL209→119へ低下
        (女性は食事でLDLが低下する場合も多い)
2018年6月  右鎖骨下動脈IMT=3.49mm(石灰化:退縮) 腹部大動脈IMT=3.20mm (石灰化:退縮)  朝のフラ-感( - )

備考):“朝のフラ-感“の症状は、脳梗塞の前兆である場合が極めて高いです。
この症例は、右鎖骨下動脈の石灰化のみならず、腹部大動脈の石灰化も退縮していますので、恐らく心臓の冠動脈や脳動脈に石灰化があれば退縮している事でしょう


<症例8> 65歳 男性

臨床経過:
2011年1月 スタチン剤(ロスバスタチン2.5mg)開始

2012年6月  EPA製剤(900)2P/日開始
2016年6月 初診
       ロスバスタチン中止
  ビフィズス菌製剤2g/日 開始
    右鎖骨下動脈IMT=3.94mm(石灰化++) 右大腿動脈IMT=2.67mm (石灰化++)
2018年6月
    右鎖骨下動脈IMT=3.11mm(退縮)
   右大腿動脈IMT=2.17mm (退縮)

備考:プラークが減り、折り重なった石灰化の形も変化し、血流も改善しました。
この症例も、右鎖骨下動脈の石灰化のみならず、右大腿動脈の石灰化も退縮(減る、小さくなる事)しています。


<症例9> 69歳 女性

臨床経過:
2015年5月頃〜 降圧薬(テラロム配合錠)1T開始
2017年6月         降圧薬(フルイトラン錠)が1種類追加になる
2017年9月 初診 腹部大動脈IMT=4.00mm(石灰化++)
左頸動脈IMT=1.12mm (一部石灰化+)  EPA製剤(900)2P/日, +ビフィズス菌製剤2g/日 開始
        こむら返り+, 朝のふらつき+
2018年1月  腹部大動脈IMT=2.55mm(退縮)
 左頸動脈IMT=0.87mm (退縮)
    こむら返り(-), 朝のふらつき(-) フルイトラン錠は中止になった

コメント:ほんの4ヶ月で腹部大動脈の石灰化が目に見える形で改善したことに驚きです。免疫細胞はそれ程までに強力なのです(おそらく石灰化を食べてくれている免疫細胞はマクロファージが変身した破骨細胞であろうと思われます)。

<結果>

  1. 呈示した9症例に於いて、石灰化した動脈硬化(プラーク)も改善することが治療前後のエコー観察で証明できました。
  2. 石灰化した動脈硬化(プラーク)が改善した9例はいずれもスタチン剤を服用していないか、スタチン剤を中止していただいた症例であった。
  3. 呈示した9症例はいずれも、RAP食を行い、EPA製剤・ビフィズス菌製剤を服用していた。

<考察>

・いずれの症例もスタチン剤を服用していないので動脈硬化(石灰化)の退縮スピードが速いのではないか、と考えられます。なぜならスタチン剤には免疫細胞に抑制的に働く側面があることが知られているからです。

・EPA製剤・ビフィズス菌製剤はRAP食(プラーク退縮のための食事療法)に補助的に必要であろうと考えられた。

・症例1に関して、
冠攣縮性狭心症、顔面神経麻痺、高血圧、無症候性脳梗塞・・・これらは全て・・同一犯(血管プラーク)による犯行です。(最近の私の書籍「脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因」を参照下さい)。40歳以上の国民は、全員がなるべく早く血管エコーを受けるべきです。採血でこの犯人を探し当てるのは不可能です。健診政策の変更が早急に望まれます。

健診と言えば・・将来的には、全ての公共交通機関の運転手・操縦士、および自家用車の運転手の免許更新も血管エコー検査の証明書が必要。・・・そんな未来も想定可能です。

せめて、バスや電車、業務用トラック、タクシー、急流下りの船頭、パイロットなどの命を乗せる乗り物を操る職種には今直ぐにでも頸動脈エコー&右鎖骨下動脈のエコーを、可能なら8カ所の血管エコーを義務化していただきたいですね。

たとえ採血や血圧測定という現状の健診をドライバーに毎日行っても、決して血管病による事故は予見できません。運転手の脳や心臓などの血管病による事故をニュースで知るたびに、毎回情けない気分になります。

・症例3に関して、もしスタチン剤が動脈硬化に効くのなら、この症例の方はロスバスタチンを5年も飲んでいますから、こんなに動脈硬化が進んでいないはずです。スタチン剤が動脈硬化治療に有益なら、スタチン剤を止めて僅か1年でこんなに進んでいた動脈硬化(石灰化したプラーク++)が簡単に改善する訳がありません。

この一連の現象をサッカーの全日本代表に関連して例えると・・・
「ドリブルがうまいという評判で、5年間も全日本のレギュラーでいた選手(ロスバスタチン)をメンバーから外してみると、1年間でめちゃくちゃチームが強くなって若手のプレーヤーがゴールを量産出来るようなチームに変身した・・」そんな状況と同じです。

サッカーではチームが強くなったかどうか?ゴール数の差で判定します。ボール保持率やシュート数などは参考データに過ぎません。

動脈硬化が改善したのかどうか?プラークの退縮で判定します。LDLやL/H比や体重減少などは参考データに過ぎません。

国民の大多数はワールドカップで日本が優勝する確率は0%に近いと思っていても・・選手達は本当に・・真剣にワールドカップでの優勝を夢見ているのですから。 頭が下がります。

2018年7月3日のロシアワールドカップ:決勝1回戦でのベルギー戦は今まで観たどんなサッカー試合よりも感動しました・・将来の優勝は夢ではないかも・・と思えました。

私も、実現不可能と思われる・・脳梗塞・心筋梗塞ゼロの世界を目指しています。
スタチン剤を使わないでプラークを改善させる・・このことに関して・・ご意見も色々あるでしょう・・でも今回の症例をご覧いただければ、スタチン剤を使わないからこそ、それが現実になる日も夢ではないかも・・と、少しでも感じていただければと思います。

特に医療関係者による、「スタチン剤を使わないで“動脈硬化を治す”仕事」への参戦と、参戦いただいた先生へのサポーター的な応援を期待しています。


<まとめ>

1)動脈硬化(脳梗塞・心筋梗塞などの原因)の診療では、プラークを減らさなければ、血管病で倒れる人は減りません。薬でLDLが下がっても、糖質制限で体重が減っても、それは決してプラークの改善を意味する所見ではありません。

2)石灰化の有無に関わらず、今後はLDLが下がったかどうかではなく、「RAP食」で“今あるプラークを減らせたかどうかの結果”が求められ時代になるべきです。

<コラム>

頸動脈プラークを指摘されたら

1)高安動脈炎(大動脈炎症候群)でも大動脈や頸動脈などにプラークが形成されます。
高安動脈炎とは、国の難病指定になっている病気です。難病情報センターのホームページによれば、以下は引用「15歳から35歳の若い女性に発症しやすく(9割は女性)、年間200名程度の方が新たに発症していると考えられています。大動脈やそこから分かれている大きな血管に炎症が生じ、血管が狭窄したり閉塞したりして、脳、心臓、腎臓といった重要な臓器に障害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする原因不明の血管炎です。炎症が生じた血管の部位によって様々な症状がでます。わが国の高安右人教授が1908年に初めて報告しましたので高安動脈炎と呼ばれています。かつて大動脈炎症候群とも言われましたが、病変は大動脈以外の全身に生ずることがあるため、現在は高安動脈炎と呼んでいます。」。

病態は原因不明の血管の炎症ですから、生活習慣病により血管プラークが形成されている場合よりも、様々な症状を起こしやすく、上肢を栄養する血管が障害を受けると、腕が疲れやすいなど、下肢を栄養する血管(総腸骨動脈など)が障害を受けて歩行が困難になる場合もあると言われています。原因が「炎症の持続」と考えられるためにRAP食では効果ありません。炎症を抑える薬が必要です。健診で「頸動脈プラーク」を指摘された比較的若い女性の場合は、この病気の可能性を担当医に必ずお尋ねください。(詳細は難病センターのホームページをご覧下さい)

高安動脈炎の場合の頸動脈や大動脈のプラークは“マカロニサイン”といわれ、血管そのものの炎症ですから、プラークが同心円状に均等に溜まりやすいのです。一方、生活習慣病の場合のプラークは、血管が健全ですから、流体力学や血管が接している構造物の硬さなどにも影響されて、偏在してプラークが溜まるのが普通です。

2)特発性の頸動脈痛(Carotidynia)でも一過性の頸動脈プラークを指摘される。
Carotidyniaとは、片側頸部の疼痛を呈する特発性(病因不明)の症候群で、1927年にFayにより初めて報告されました。圧痛を伴うこともあり、エコーでは頸動脈の壁肥厚(プラーク)として認識されます。
痛みは2週間で改善し、プラークは2週間から1ヶ月で縮小〜消失すると報告されています。(以上は国際頭痛学会提唱の特発性Carotidyniaに関しての記述です)



2018年7月3日 記載
真島消化器クリニック

「脳梗塞・心筋梗塞の予防法」目次へ戻る

Dr.真島康雄のバラの診察室

携帯版のご案内

お知らせ

リンクページ