脳梗塞・心筋梗塞の予防法

サバ缶など、健康目的で青魚を頻回に食べて動脈硬化(プラーク)が進行した症例の治療

現在の健康常識である・・「LDLが低ければ安心」・・「薬でLDLが下がれば安心」・・「体重が減れば健康」・・・「EPAを多く含む青魚を摂れば健康になれる」・・・これは全て誤りです。

たとえ話で恐縮ですが、スポーツは熟練した審判よりも、写真判定を信じるのが常識です。そこには、「どの審判の判定を信じていいのか分からない(医学情報の何を信じればいいのか分からない)」・・などという・・迷いというものは・・“目が見える人”にとっては信じられません。

昭和40年代以降、日本人の食習慣は驚きの変貌を遂げ、昭和中期までは“善”であった食べ物が、平成晩期には“悪”の食べ物へと様変わりしました。
RAP食(血管エコー実例・研究をビジュアル解説 29))に理由を記載(2019年3月)。

また、人工衛星“はやぶさ”は未知の空間へ出かけて、そこで何があったのか?・・“言葉”ではなく、写真や映像を送ってくれるので、誰でも信じることができます。

一方、血管エコーも・・未知の空間の動脈の中へ入り込み・・そこでどんな変化が生じているのか?・・明らかにしてくれます。

同様に、様々な食品がもたらす血管内部の変化も・・「先入観なく・・、継時的に、同じ断面で、熟達した同じ術者が、同一の装置で、精密に定点観測された血管エコー写真」によってのみ明らかにされますので、それまでの常識(疫学調査などで得られた知識)が覆されても疑うべきではありません。

「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」


<症例1> 70歳 女性

・・サバやサンマで大腿動脈プラークが急に悪化・・

(図1)

<要約>

家族歴:母60代で脳梗塞・麻痺+、92歳で他界
   :夫49歳で脳卒中・麻痺+、67歳で他界
現病歴:2008年1月頃から糖尿病の内服治療開始
2010年2月 当院初診
主訴:頭重感++&肩こり++、こむら返り+

<8カ所の血管エコー>&“当時のRAP食”指導。

  1. 腹部大動脈max-IMT=2.6 mm
  2. 右大腿動脈max-IMT=0.7 mm
  3. 左大腿動脈max-IMT=2.7 mm
  4. 右鎖骨下動脈max-IMT=3.9 mm
  5. 右頸動脈分岐部max-IMT=1.6 mm
  6. 左頸動脈分岐部max-IMT=0.8 mm
  7. 右総頸動脈max-IMT=0.9 mm
  8. 左総頸動脈max-IMT=1.0 mm ***脳梗塞・心筋梗塞のリスクレベル=4(0〜4)***

2010年11月 プラーク悪化  (当時の未熟で不完全なRAP食も原因の一つ?)

  • 右大腿動脈max-IMT=1.1 mm(図1:最上段)
  • 左大腿動脈max-IMT=3.0 mm(図1:最上段)
  • 右頸動脈分岐部max-IMT=1.8 mm(図1:最上段)にて、“当時のRAP食”を修正して指導。
    血小板=29万 バイアスピリン(100)1T/日 開始

2013年11月 エパデールS(600)2P/日、ラックビー微粒N,2g/日を追加で開始。
2014年2月 バイアスピリン→プラビックス50mg/日へ変更 エパデールS(900)2P/日へ増量
2015年8月 プラーク改善(図1:上から2段目)にてRAP食の継続を指導。

  • 左大腿動脈max-IMT=2.00 mm(図1:中段上)
  • 右頸動脈分岐部max-IMT=1.58 mm(図1:中段上)

2016年6月 プラビックス、エパデール共にゼネリック薬に変更
2018年8月 プラーク悪化(図1:上から3段目)

  • 左大腿動脈max-IMT=2.00 mm(図1:中段上)
  • 右頸動脈分岐部max-IMT=1.53 mm(図1:中段上)

(頸動脈だけではリスク回避は困難)

左大腿動脈が悪化していたので・・食習慣を問診したら・・
2015年8月頃から3年間も、ほぼ毎日「テレビのDrの話を信じて、サンマ、サバ(水煮缶も)、アジなどの青魚をほぼ毎日食べていた」とのこと。
青魚の過食では大腿動脈が肥厚する傾向がありますので、念のために、右大腿動脈をエコーしました。 すると・・・
右大腿動脈max-IMT=2.65 mm(図1:中段下) 悪化!!

『プラーク治療計画』
魚は100g中の脂質が2.0g以下の魚だけを選択して食べるように指導し、従来食べていた青魚など、全て食べるのを禁止していただき、その他の食習慣は全て同じで経過観察を行った。

2019年1月 プラーク改善(図1:最下段)

  • 右大腿動脈max-IMT=2.25 mm(図1:中段上) と、プラーク改善
  • 右頸動脈分岐部max-IMT=1.53 mm(図1:中段上) 不変

頭重感(―)& 肩こり(―)、こむら返り(―)に改善


結語:
「食歴を詳細に聞けば・・最新のRAP食で動脈硬化は治せます・・しかし、この症例のごとく・・まず全身の動脈プラークの肥厚を正しく評価できることが、前提条件です」

コメント:
1)サンマ、サバ(水煮缶などの缶詰を含む)、アジなどの頻回の摂取が脂質過剰になり、M-line((血管エコー実例・研究をビジュアル解説 29)))越えとなり、プラークが急速に堆積したものと考えられます。 (動脈硬化の未来塾 53))  (動脈硬化の未来塾 86))   (動脈硬化の未来塾 90))

2)青魚の頻回摂取にも関わらず、頸動脈プラークなど、大腿動脈以外のプラークは特に大きな変化はなかったので・・頸動脈のみで経過観察するのは危険です(採血・体重測定だけならもっと危険です:時代遅れの健診です)という証明にもなる一例です。・・ただし、頸動脈以外の血管まで血管エコーすることでの有益性に対する保険制度上の対価が0ですので、医療機関が頸動脈以外を検査することへの絶対的な壁となっています。

3)この方の家族歴を伺えば、テレビの情報を信じて真面目に3年間も実行・継続された心情が理解できますし、(恐らくこのように・・家族の病気を体験された方が多いのでしょう)スーパーで水煮缶が売り切れになるのも無理ありませんが・・知らないこととはいえ・・真綿で自分の首を絞めつける行為ではないでしょうか?・・素直な人ほど・・かわいそうで見るに偲びません。一人でも不幸になる人を減らすために・・「青魚=健康:迷信」をひっくり返す必要があります。


<症例2> 59歳 男性

・・・毎日のサバの水煮缶&納豆、他でプラーク悪化・・

(図2)

<要約>

かねてより通院中で、2011年2月に右頸動脈分岐部に2.1mmのプラークを認め、当時のRAP食を推奨し、

2017年4月:同部のプラークが改善1.93mmに(図2:左)。 人一倍、健康の情報には熱心な方で、さらにプラークの改善を目指し、独自に情報を仕入れて以下のことを励行されました。

  1. 鯖の水煮缶を毎日:1缶食べることを開始 (備考:脂質摂取 約32g/日)
  2. 納豆を毎日1パック食べることを開始  (備考:脂質摂取 4.5g/日)
  3. ピーナッツを月に3小袋(100g)食べることを開始 (備考:脂質摂取 4.9g/日)
  4. 以前からの豆乳180cc/日は続行のまま継続 (備考:脂質摂取 3.6g/日)
  5. 以前からの豆腐1丁/日は続行のまま継続 (備考:木綿豆腐なら脂質摂取 12.6g/日)

2018年4月:同部のプラーク悪化2.18mmに(図2:中央)。
<症状:最近、体調不良になっている>

階段で荷物を上げるときに、胸の圧迫感+や息切れ+。左肩痛++で、左肩が上がらず、夜中に痛む事が度々で、肩の可動域が狭くて、バットの素振りができない。

『プラーク治療計画』

  • 当時のRAP食を再度指導し、
  • サバの水煮缶、納豆、ピーナッツ、豆乳を完全に止めていただき、
  • 豆腐を週に1丁へ減らし、
  • トコロテン300g/日および脂肪0ヨーグルト(乳製品)130〜200g/日を推奨し、
  • エパデール1800mg/日&ラックビー微粒N:2g/日を開始。

2018年10月:同部のプラーク退縮1.78mmに改善(図2:右)。

結果:

  1. 体調良好で、階段での息切れや胸の圧迫感が完全に消失。左肩痛も完全に消失し、バットの素振りがビュンビュンできるようになった。
  2. 1年前に、視力が眼科での検査で右0.7、左0.8だったのが、2018年10月の受診時には右1.2、左1.5へ視力が改善した。
  3. 腎機能がプラーク増減と連動して Cr=0.97(2017年4月)→Cr=1.10(2018年4月)→Cr=1.01(2018年7月)→Cr=0.85(図2)へとCrが低下(腎機能も改善)した。

結語:
2018年の体調不良&プラーク悪化の最大の犯人は、健康に良いとされる“サバの水煮缶”
と思われます。脂質を多く摂取している現代の男性・女性(国民健康栄養調査結果:40〜69歳の男性1日平均で65.9g・女性で57.4gの脂質摂取:平成29年)にとっては、サバ缶は脂質が非常に多く含まれており、頻回摂取は極めて危険です。

同様に、納豆やピーナッツにも多くの脂質が含まれているので、頻回食は非常に危険です。
 (動脈硬化の未来塾 87))  (動脈硬化の未来塾 88))

<つぶやき>
・医学の常識ですが、納豆を食べても・・納豆キナーゼは消化管から血液中に吸収されません・・血栓溶解剤(ウロキナーゼ)も消化管から吸収されないので、冠動脈内へ直接注入します・・・インスリンも飲んで効くなら助かりますけどね・・・テレビの先生は誤解されているようです。

(男女の平均寿命の差は・・ひょっとして・・1日の脂質摂取の量に・・密接に関係?・・ちなみに・・男女共に・・T-max=10.5mm 程度に達した年齢層が・・平均寿命です・・・そして・・プラークの原因は・・主に過剰な脂質摂取であり・・そしてプラークの程度は・・摂取した脂質の量に相関します)

・RAP食によるプラーク改善に伴って、腎機能が改善することはよくあることです (動脈硬化の未来塾 34))  (動脈硬化の未来塾 36))。不治の病の眼病なら、原因のほとんどが動脈硬化ですから、最新RAP食を行えば・・改善する可能性が大です。

特に、網膜静脈閉塞症や加齢黄斑変性の方の視力は、プラークが改善すれば視力も改善するでしょう。 (動脈硬化の未来塾 71))  (動脈硬化の未来塾 66))  (動脈硬化の未来塾 37))  (動脈硬化の未来塾 26))


<症例3> 61歳 男性

塩鯖、サバ水煮缶などで頸動脈狭窄++

(図3)

腹部大動脈の石灰化したプラークの退縮にご注目!

<要約:症状、食歴など>
家族歴:父84歳、心筋梗塞で他界
現病歴:
1998年頃から・納豆を毎日1〜2パック摂取(時々夜につまみとしても)・・現在まで。
(動脈硬化の未来塾 87))
2008年頃から・・・ミックスナッツ片手1杯・・毎日摂取(好きで)・・現在まで。
(動脈硬化の未来塾 88))
2012年2月頃に、日中に右側へのふらつき感+で階段の手すりを掴む程度に。2回ほどあり。
2014年頃から2018年8月までの間・・毎日:板チョコ半分を摂取。
(動脈硬化の未来塾 88))
2017年10月頃から半年間・アマニ油orエゴマ油orオリーブオイルを毎日大さじ1杯摂取。
(動脈硬化の未来塾 54))  (動脈硬化の未来塾 66))  (動脈硬化の未来塾 76))
2018年1月から8月までの8ヶ月間、毎日サバの水煮缶の半量摂取。更に、追加で毎日塩サバ1切れorサンマ1匹(またはイワシ大2匹)を摂取。
(動脈硬化の未来塾 86))  (動脈硬化の未来塾 90))  (動脈硬化の未来塾 53))
2018年8月から豆乳ヨーグルト150cc/日開始


アルコール摂取:

  • 2013年まではビール1000cc+焼酎ロック1〜2杯(またはワイン1本)
  • 2013年以降現在まで・・ビール1000cc+焼酎1合(焼酎2割のお湯割で薄めにして)

当院初診までの経緯:
2018年7月中旬 健診でTC=256 LDL=163 TG=101 HDL=79の結果で、
2018年8月初旬 奥様が当院のホームページを閲覧され、RAP食を開始。数日後に近医の循環器科に受診し、スタチン剤を処方されたが服用しないで、代わりにEPA製剤の服用をお願いするが、全く聞く耳を持たれない状況で、ひどく叱られる。
2018年9月初旬:他の内科を受診し、採血&エパデールS(900)2,2xを処方していただく。
    RAP食のおかげで内科受診時の採血ではTC(総コレステロール)=203 と低下。

(食事でTC、LDLが低下しても・・急にプラークは減りませんのでご注意ください)

2018年10月中旬 当院初診
<症状> ほぼ毎日・・朝にフラーとする感じあり。

<8カ所の血管エコー所見>

  1. 腹部大動脈max-IMT=3.79 mm(図3:右)
  2. 右大腿動脈max-IMT=0.73 mm
  3. 左大腿動脈max-IMT=1.03 mm
  4. 右鎖骨下動脈max-IMT=2.00 mm
  5. 右頸動脈分岐部max-IMT=2.86 mm
  6. 右頸動脈分岐部IMT=1.79 mm(図3:左)
  7. 左頸動脈分岐部max-IMT=5.08 mm(図3:中央)・・頸動脈狭窄++
  8. 右総頸動脈max-IMT=0.61mm
  9. 左総頸動脈max-IMT=0.61mm ***脳梗塞・心筋梗塞のリスクレベル=4(0〜4)***

『食品でのプラーク治療計画』 最新RAP食を開始。 ・・特に以下に注意・・

  • 魚の摂取を修正。脂質=サバ缶1/2缶+塩サバ(orサンマorイワシ)=約36gカット
  • 植物油大さじ1杯の摂取禁止、料理への使用も禁止。 脂質=15g カット
  • アルコール断酒(病気の深刻さから)
  • ナッツ類摂取禁止。 片手:約30gとして、脂質=16.2g カット
  • 板チョコレート半分/日:禁止。  脂質=9.5g カット
  • 豆乳ヨーグルト150cc/日:禁止。  脂質=4.1gカット
  • 納豆1〜2P/日:禁止。     脂質=6.5gカット   脂質カット合計=87.3g
  • トコロテン300g/日開始。
  • 脂肪0ヨーグルト100g/日開始 (200〜260g/日摂取を推奨

<処方薬・治療>・・症状・プラーク所見より・・抗血小板剤の追加が必要なので・・

  • クロピドグレル(25)2T,1xを追加処方(EPA単独ではサラサラ効果が弱いので)
  • ラックビー微粒N,2g,2x を追加処方
  • エパデールS(900)2,2x は継続服用

2019年2月 初診から・・わずか4ヶ月で・・プラーク改善を確認 (図3)

  1. 腹部大動脈max-IMT=3.79(石灰化)→3.23(石灰化)mm改善(図3:右)
  2. 右鎖骨下動脈max-IMT=2.00→1.75 mm 改善
  3. 右頸動脈分岐部max-IMT=2.86→2.73 mm 改善
  4. 右頸動脈分岐部IMT=1.79→1.53 mm改善(図3:左)
  5. 左頸動脈分岐部max-IMT=5.08→4.44 mm改善(図3:中央)

<症状> 朝のフラー感:2018年12月頃から・・全く消失。

考察:
1)4ヶ月という短期間にプラークが良好に退縮した背景は、1日の脂質カット総計=36+15+16.2+9.5+4.1+6.5=87.3g とアルコール断酒によると考えられます。

2)今回の高度の頸動脈狭窄に至る最も大きな原因は、サバの水煮缶+塩鯖またはサンマ1匹または大イワシ2匹の魚油36gの毎日摂取が最も大きく影響したと思われます。1日の脂質摂取量に最も大きく影響。(備考:以下のページ2019年3月追記の記事で、脂質摂取におけるM-lineの発想を参照ください)
(血管エコー実例・研究をビジュアル解説 29))

3)腹部大動脈の石灰化したプラークが、わずか4ヶ月で著しく改善(退縮)を認めました。
もちろん、スタチン剤は使用していません。マクロファージやマクロファージが変身した破骨細胞などが、ありがたくも石灰化したプラークを頑張って貪食してくれたのでしょう。

(なお、マウスにおいて、石灰化した尿路結石もマクロファージが貪食してくれることを名古屋市立大学が2008年に確認しています。)

今回の大動脈プラーク改善の所見は、石灰化したプラークにも比較的早期に治癒のメカニズム(動脈硬化の未来塾 11))が作動しているという証拠です。このことはRAP食に取り組む本人の努力次第では、その人の明るい未来(多くの病気の危険性が消滅(動脈硬化の未来塾 7)))が保証されることを意味します。

すでにホームページに、石灰化したプラークがスタチン剤を使用しないRAP食で改善するという証拠写真を多数例で掲載しています(動脈硬化の未来塾 82))ので、ご覧いただければ未来への励みになるでしょう。高齢であっても、石灰化した動脈硬化でも、正しく努力すれば改善いたします。

特に、LDL値とスタチン剤とプラーク治療との関係を、先入観なくご覧ください。
動脈硬化の未来塾 52)) (動脈硬化の未来塾 68)) (動脈硬化の未来塾 75)) (動脈硬化の未来塾 77)) (動脈硬化の未来塾 82))

結語:
「健康に良いと言われている青魚の頻回食によって、実は現代人の健康が蝕まれている」という事実は、以下に掲載したショッキングな記事でもご理解いただけます。


<あとがき >

  • 脂質含有食品を闇雲に禁止しているわけではありません。1日に摂取する脂質総計を昭和35年頃に抑えられるなら・・植物油でも、サバでも、納豆でも, 天ぷらでも、ピーナッツでも、食品添加の食用油脂などもOKです。(血管エコー実例・研究をビジュアル解説 29))
  • 脂質含有食品の過食に傾くとM-lineをオーバーして血管にプラークとなって堆積します・・・
    そうして・・一旦、どこかの血管にプラークが溜まって危険レベルに近づけば・・昭和35年頃よりも、もっと脂質摂取を少なくする努力をしましょう・・・と・・警鐘を鳴らしている次第です・・・誤解のないように願います。
    (昔のRAP食を、昔のまま継続しないようにお願いいたします。RAP食は進化し続けます。)

2019年5月7日 記載
真島消化器クリニック



<厚生労働省研究班の魚摂取に関する大規模疫学調査結果の解釈は正しい?

『青魚が健康に良い』は・・ある意味で迷信です・・以下に
私の見解をコメント

青魚摂取と動脈プラークの変化を研究すれば、現代人にとっての青魚は極めて危険な食材であるとの結論になります。ではどうして・・青魚を食べれば食べるほど動脈硬化の進行を食い止める事ができる・・・という以下の疫学調査結果として広まったのでしょう?

それは・・全国ほとんどの一般向けの健康に関する講演会で、下図あるいは改変された図を用いて、「週8回魚を食べる人(180g/日)は、週に1回しか食べない人(20g/日)と比べて、心筋梗塞を発症する危険度が56%も低かった」という結果を受けての・・青魚をたくさん食べましょう・  というお話になり、特に青魚にEPAが豊富に含まれているから・・・と、耳にタコができるくらいに・・お話があります。

この研究は国レベルの大規模なもので、1990年1月〜2001年12月まで、41,578人を母集団として調査されています。正式には日本のJPHC Studyによる研究結果報告書をよくご覧ください。

要するに、「魚を週に8回食べると、心臓のイベントが発生する確率に有意差はなかったが、明らかな心筋梗塞を56%も減らすことができる」という結論。

でも@@・何か奇妙なことに気づきませんか?・・不思議なグラフです
    ・・週に4〜5回ではダメなの? ・・週に1回の人は一体何を食べているの?

でも・・「青魚の多食でプラークが悪化し、制限でプラークが退縮するという多くの事実」を、上記のグラフは説明できません。
したがって、この疫学調査の解釈の正解は他にあると言わざるを得ません。

でも・・
どうしてもこの大規模疫学調査結果の図が気になり、T-maxという科学的なものさしで、この疫学調査の結果を、論文原本のデータを加味しながら、上記の図を解析してみました。
(疫学調査結果を科学的に分析可能なのはT-maxのみです)

そして・・論文を読むと、何と大規模調査期間中に突然死(心臓)37名と致死的冠動脈イベント(心筋梗塞)で死亡された62名のデータが目にとまりました。

なんと・・・この死亡例のデータが無視され、先ほどの棒グラフに記載がありません。

この、お亡くなりになった方から得られる教訓に敬意を払うべきだと思い、勝手ながらJPHCグループ作成の図を改変させていただきました。

??やっぱり!・・

このように、死亡例を入れたグラフが作成されなかったのは、「事実だが・・説明が困難」とされ、苦渋の決断をされ“世間を惑わす“として見送られたに違いありません。でも論文にはデータを正直に記載されていました。

まさか・・論文が掲載された2006年当時は、私を含めて・・「日本人なら特に、だれも魚の過食がプラークを悪化させる」など・・夢にも思ってもいませんでしたから・・

やっぱり、疫学調査が正しいかどうかの判定は・・T-maxという物差し以外にありません。

私のプラーク(T-maxで検討)と食品の研究でも、“魚を嫌い”と答えた方のプラークは症例が少ないために有意差が出ていませんでした(p=0.14)が、プラークはより肥厚していました。“魚大好き”と答えた方は明らかにプラークが肥厚していました(p=0.007)。「脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因」P 191(幻冬社)

標準のライン(紫の横線)を、「週に3回魚を食べる群」にすれば、プラーク肥厚と魚の好みとのデータは同じ傾向を示します(上図)。

図でお判りかと思いますが、

魚を週に3回食べる群と比較して、魚を(脂質含有量を考えないで)週に4回以上も食べると、死亡例が増加します。また、週に1回と少なくても死亡例が増加します。
大規模調査結果から・・・実は・・・週に3回(図の二番目)魚を食べているグループ(50g/日)が最もバランスのいい食習慣の人たちなのだろうと推察されます。

このグループは突然死0ですよ(10年間で)・・・

<突然死0にコメント>
無茶食い、酒類の無茶飲みをしなければ・・プラークが極めて徐々に進行し・・そのおかげで血管が徐々に拡張し・・症状が出ても・・血管内皮機能(血管内皮からNOが放出され・・緊急避難的に血管が拡張し内腔が広がる)のおかげで・・突然死が0なのでしょう。

逆に、急に「健康にいいからと、毎日様々な植物油を摂取、毎日サバ缶を食べる、毎日納豆を1-2個食べるとか、毎日チョコやアボガド、ミックスナッツ、ピーナッツなどを食べ始めるなどしたら・・・突然死や28日以内の死亡リスクが高まるでしょう。

---------------EPA・DHAを魚から多く摂取すれば安心か?---(下図)

魚摂取量と虚血性心疾患との関係の図と同じですね・・・

「EPA・DHAを多く含む魚を食べれば、食べるほど心筋梗塞などにならない」・・と、受け取りますよね〜・・誰でも。

EPA・DHAを1日2.1g摂取すれば・・明らかな心筋梗塞を・・65%も減らせる・・・ そんな意味が込められた図です。

でも・・・・これも危険な罠です・・誰も気付かない怖い罠です。

EPA・DHAを1日にたくさん摂取した群は、虚血性心疾患にならないに違いない』という先入観をもって集計された結果ではないでしょうか?

死亡例を入れなかったら、素晴らしい結果ですね・・・

----------死亡例の棒グラフを追加しました(下図)-------

??ここまでT-max結果と一致とは!
実は、プラークは脂質摂取量(脂質の質は問わない)に相関するので、このグラフの方が死亡例のT-max(おそらく高値)をよく表現しているかと思います (T-maxは寿命:年齢と極めて明確な相関あり)

魚肉の20%前後がEPA+DHA量とすると、上図のEPA・DHA摂取量が最も多い群(死亡率が最も高い群)は毎日魚の脂質を10.5g(2.1x5)摂取していることになります。

毎日水煮缶(1缶32gの脂質)、半分(16g)を食べ続けるなんて・・恐ろしくないですか?

EPA・DHAを摂取しすぎると、魚のEPA・DHA以外の魚油をたくさん摂取することになり・・死亡例が増加します。

なるべく死にたくなければ、EPA・DHAの量(魚油から摂取した場合)は1日0.6gが適当のようです。
(EPA製剤1日1.8gやEPA・DHA製剤1日2gは純粋に近いEPAやDHAなので、余分な脂質が含まれていないからOKです)

つまり・・EPA・DHAの量で0.6gは、魚油換算で3g(0.6x5)・・魚介類でそれぞれ異なるので、概算ですが・・イカ(1g)なら1日300g・・マガレイ(1.3g)なら1日230g・・なお、RAP食では「治療なら100gあたりの脂質が2.0g以下の魚や肉にしましょう」・・「現状維持でいいなら100gあたりの脂質が3〜3.5g」とし、肉でも魚でも・・なるべく脂質の少ない肉や魚を選びましょう・・と推奨しています。 ( ):100g中の脂質の量

この大規模調査結果は、魚摂取に関するRAP食の理論を補完する結果だと思われます。

サバ缶など、毎日せっせと食べている皆さんはどう思いますか?

これらの情報
家族に知らせるべき情報かと思います

<つぶやき>
T-maxの手法を使えば・・この大規模調査のように、結果を10年も待つことなく、心筋梗塞や脳梗塞で倒れた方を、ただ集計し解析するという従来の方法を終わらせることができます。
多施設でT-maxを測定すれば、1年で同じ結果以上の疫学的情報が得られ、同時に脳梗塞・心筋梗塞・認知症の予防も可能で、調査に参加された方は、血管病で倒れにくいという・・多大な恩恵に預かることにもなるのですが・・、そして、莫大な税金の節約にもなります。

公衆衛生学の教授・准教授という立場の人が、この記事を読んでいただければ幸いです。

不思議ですが・・納豆の毎日食でも、鯖缶の毎日食でも、オリーブオイル毎日飲用でもLDLが下がるという研究があります。(しかし、プラークがあれば・・悪化します)
不思議ですが、焼肉を沢山食べて、アルコールを沢山飲んでも・・・LDLは低下します。
(しかし、プラークがあれば・・悪化します)

これらは事実です、私の仮説ですが、脂質豊富な食べ物を食べ過ぎても・・LDLが上がらない場合・とても危険だからと・・・生体側の、「肝臓でのLDLなどの脂質を合成するのは控えておこう・・」という、まともな自己防衛反応・・が機能しているのかもしれません。

・魚のシッポを捕まえてはいましたが、今回の検討で魚を完全に捕獲できました。10連休とバラ達、サバ缶や納豆などでプラークが悪化した人達に感謝! そして大規模調査に参加され、心筋梗塞などで亡くなられた方々に哀悼の意を表し、深く感謝いたします。

2019年5月8日 記載
真島消化器クリニック


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