脳梗塞・心筋梗塞の予防法

高血圧症の根本的な治療はRAP食で動脈プラークを減らすこと。おまけで体重減少も

進歩した現代医学の中で「本態性高血圧症の原因究明とその根本的な治療法」における進歩はみられない。・・全く新しい技術革新による問題解決が望まれています・・というより・・降圧剤の進歩によって、「高血圧症は降圧剤のマネイジメントで、十分に医師としての責任を果たせる・・・」と、医療側は自己満足に陥っているのかもしれません。

国立循環器病研究センター病院のホームページ(2019年6月8日現在)によれば・・・・・

---------------------------------------以下引用(11行)
「本態性高血圧症」:原因の判らないものをいい、高血圧症の約90%がこれに入ります。本態性高血圧症は遺伝的な因子や生活習慣などの環境因子が関与しており、生活習慣病といわれています。原因としては以下のことが考えられます。

  • 過剰な塩分摂取
  • 肥満
  • 過剰飲酒
  • 精神的ストレス
  • 自律神経の調節異常
  • 運動不足
  • 野菜や果物(カリウムなどのミネラル)不足
  • 喫煙

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しかし、『本態性高血圧症』の原因に関して、書籍「脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は脂が原因」2018年(幻冬舎P88~115)誌上で、「高血圧の根本的な原因はプラークと肥満であり、塩分が原因ではない」という証明を行なっていますのでご一読ください。(ホームページの記事(動脈硬化の未来塾 56)よりも、書籍のデータの方が、群間の平均年齢を揃えるなど、詳細に解析しています)

動脈硬化の原因はプラークですから(動脈硬化の未来塾 11) (動脈硬化の未来塾 56) 、プラークを減らすことができれば、血圧は下がります。(動脈硬化の未来塾 2) (動脈硬化の未来塾 1) (動脈硬化の未来塾 13) (動脈硬化の未来塾 62) (動脈硬化の未来塾 80)

今回、書籍に掲載の記事を裏付けるかのような、判りやすい実例を経験できましたので、ご報告いたします。

「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」

症例1. 76歳男性
<主訴>右総腸骨動脈瘤・高血圧症
<家族歴>父:90歳で脳梗塞:寝たきり→92歳心不全で他界
<現病歴>
1963年〜2003年までアルコール多飲歴+
2011年3月 硬膜下血腫で入院(頭部打撲歴もなく)
2018年11月 近医にて、腹部エコーで右総腸骨動脈瘤の指摘あり。
    11月 腹部CTにて右総腸骨動脈瘤 2.7cm指摘
LDL=151 TG=161 HDL=41 TC=224 Cr=1.01
2019年1月中旬  腹部CTにて右総腸骨動脈瘤 2.7cm指摘。降圧剤の服用を勧められたが、食事で頑張るからと断る。
病院薬:前立腺肥大症の薬(ナフトピジルOD(25)2T,1x)1種類のみ服用中。

2019年1月末日 当院受診。 8カ所の血管エコー:
右頸動脈分岐部max-IMT=2.35mm 左頸動脈分岐部max-IMT=2.56mm
右総頸動脈max-IMT=1.28mm 左総頸動脈max-IMT=0.77mm
右鎖骨窩動脈max-IMT=3.02mm 右総腸骨動脈瘤:前後径=2.8cm
評価:脳梗塞・心筋梗塞のリスクレベル=4 (0〜4) 食習慣点数=541点

<治療>頭部打撲もなく硬膜下血腫を経験されていますので、エパデールSやロトリガなどの抗血小板剤は使用せず、ラックビー微粒N,2g,2xと食事療法(RAP食)のみでプラークの加療を行うこととした。なお、最近は継続してアルコール摂取は完全に0。

<結果>4ヶ月経過した6月初旬に再診あり、以下に結果を列記。
1)左右頸動脈および左右大腿動脈のプラークが軽度退縮。(図1&2)
2)血圧が160から120へ低下。(図3)
3)体重が73.0Kgから64.5Kgへ減少。(図4)
4) 右総腸骨動脈瘤:前後径=2.7cm (増大なし)
5)本人の感覚の変化:「受診前と比較して、現在は身も心も非常に軽くなった」と実感されています。

図1(下図)

図2(下図)

図3(下図)

図4(下図)


<考察>

1.RAP食で血圧が順調に低下しても、プラークが良好に減少したとは、必ずしも言えないことを確認できました。
よって、RAP食で血圧が低下した場合でも、油断しないでRAP食を継続するべきです。

2.今回の症例で、プラークが少しでも改善すれば血圧は低下して正常レベルになることから、血圧が正常な人でもプラークが存在する可能性が理解できます。・・・つまり、血圧が正常でも、アルコール多飲・高脂質食の既往などがあれば、8カ所の血管エコーを受けるべきです。

3.RAP食をしているので、体重が低下&プラークも改善していますが、高脂質食をしながら体重を減らしたとしても、プラークが改善するわけではなく、むしろ動脈硬化が進行し、心筋梗塞・脳梗塞のリスクが増大すると思われます。

特に脂質摂取の量を増やして糖質制限を実行中の方や実行していた方、腎臓のCr が上昇して、たんぱく質摂取制限のために脂質摂取を増やしている人(病院の指示であっても)などはプラークが増悪している可能性がありますので、採血結果に安心せず、できるだけ頸動脈以外の血管エコーも定期的に受けましょう。

4. この方のプラークの改善速度は遅いですが、EPA製剤を半量以下(抗血小板効果をあまり期待できない600〜900mg/日 程度)でも服用していればプラーク改善がもっと良好だったかもしれません。

(備考):私の見解ですが、現在の腎臓病学は、高タンパク食が腎障害を進行させる・・と、誤解されています。
大豆食品を制限すると、高頻度にCrが低下しますが、これは大豆の脂質摂取を減らしたことによる効果であって、たんぱく質摂取を減らしたからではありません。低脂質の魚や肉・豆類などのたんぱく質を普通に摂取してもCrの上昇をきたさないものと考えられます。ちなみに日本人のたんぱく質摂取の平均は、昔も現在も大差なく、1日のたんぱく質摂取量は約70gです。Crが低下すればBUNが低下しますが、窒素分が多いたんぱく質を制限し、食事でBUNを低下させたからといって、Crが低下する道理はありません。
たんぱく質を制限し、脂質摂取を増やして・・腎機能を改善させようとする現在の腎臓病学の治療の時流(たんぱく質が腎臓の濾過機に目詰まりし、腎機能を悪化させる・・との危惧には、プラークを日頃観察できる立場から、決して賛成できません。・・むしろ、油汚れが濾過機の機能障害をもたらすのでは・・?)

尿毒症の症状があまりなく、Crが6.0以下の方など・・血清Kの過度な上昇に注意しながら(野菜ジュースはやめましょう)・・まずは過剰な脂質を制限する食事療法(RAP食)(血管エコー実例・研究を・・・29)を取り入れてはいかがでしょう。
Crが低下する可能性があります。


<結語>

最新のRAP食を守れば、血管プラークは退縮し、高血圧があれば低下し、肥満があれば体重が減少し、体が軽く疲れにくくなることが、本例でも確認された。

(つぶやき)
私が医学を学んだ1972年頃の『本態性高血圧症』の医学的な見解は・・現在もほとんど変わっていません。ということは、2019年6月までの47年間も医学の謎である・・『本態性高血圧症の原因は?』・・の解明がなされてきませんでした。

防犯カメラで血管を見るDrが増えると、脳血管・心血管で生じる事件は激減するに違いありません。そして、今まで先入観で健康にいいとされていた食品が現代人が頻回に摂取すると極めて危険であることも理解されるでしょう。

今の世の中、監視カメラのないマンションの危機管理などゼロに等しいのではないでしょうか。

2030年までに脳梗塞・心筋梗塞の死亡例0を目指そうではありませんか。
理論(書籍参照)と実際の道具(RAP食、EPA剤、EPA+DHA剤、ビフィズス菌製剤)は入手可能です。行動するのは皆さま・頭の柔らかい心ある担当医です。

すでに当院での実証実験は終了しています。(動脈硬化の未来塾 34) (動脈硬化の未来塾 69)

2019年6月13日 記載
真島消化器クリニック
真島康雄


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