脳梗塞・心筋梗塞の完全予防法

塩分制限の生活習慣で脳梗塞は予防できるか?・・・常識の“誤算”

脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)の中の脳出血は塩分制限の御陰で高血圧性の脳出血はかなり少なくなっています。しかし、脳梗塞やくも膜下出血はいずれも動脈硬化が強く関与し、逆に増えている感じが致します。

秋田県では、脳卒中死亡率:世界一の汚名挽回のために減塩運動が昭和44年から県の予防対策事業として始まりました(図)。

その結果はどうなったでしょう?

秋田県の一人当たりの塩分摂取量は、昭和27年(1952)に平均22.1g/日だったものが、平成18年(2006)には‘平均11.3g/日とほぼ全国平均レベルまで下がりました。このことは脳出血を減らすなどの当初の目的は達せられたかのようですが・・・

実は脳梗塞死亡率は医学の進歩や救急医療のシステムの進歩によって低下した(10人中8〜9人の命が助かる)のですが、発生率は逆に上昇し、身体不自由な方々が増加していると感じられます。

そして、減塩運動に最も熱心な秋田県は脳梗塞の死因が男女とも第一位なのです。これは、秋田県の救急システムが悪いのではなく、脳梗塞発生率も全国第一位と考えざるをえません。減塩運動は脳梗塞をへらすことにつながらなかったのです。

脳梗塞の真犯人は別にいる!と従来の考え方を見直すべきでしょう。

意地悪なデータの見方をすると、減塩を必要以上に推進した結果、朝方の血圧が低下して、逆に脳梗塞を増やすことになっていないか?・・・

脳梗塞は朝方の血圧が低いときに発生しやすいのです。
私の経験では、朝起きて間もなく“フラー感”や“めまい”を覚える人は、血管プラークが極めて多く堆積している人(脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4)にしばし認められる症状です。いわゆる脳梗塞の“前ぶれ”の症状なのです。

もっと、地球規模で塩分摂取量を見てみましょう。
医療環境の良い国々で比較すると、日本やイタリアは塩分摂取量が多いですが長生きの国です。一方、英国や米国は塩分摂取量が少ないのですが、長寿国家とはいえません(グラフ)。

中でも日本は世界一塩分摂取量が多いにも関わらず、世界一の長生き国家なのです。 現在の塩分の1日摂取12g/日は問題ないと言わざるをえません・・
これらの統計が最高の疫学調査であり、最高のエビデンスではないでしょうか。

塩分を親の敵のように扱うのは、漬け物業者や野菜農家の為にも、もう止めて欲しいと願っています。
塩分摂取量を全く考慮せずに、肉類・揚げ物類・糖分の多い食品などですごく綺麗なデータになるのです。塩分が動脈硬化を左右するなら前述のデータの結果(参照1)はあり得ません。

私の母は89歳ですが元気に仕事をしています。血管プラークを見ると少し溜まっていたので色々食事指導したのですが、帰省したときに好きではないはずなのに、朝パン食&マーガリンにしていました。

聞くとパン食は塩分が少ないから健康にいい・・とテレビで余計なことを話していたらしいのです。
次の日から、説明して元のご飯と味噌汁に戻してもらいました。

美味しい漬け物と魚があれば“ご飯”を食べたくなります。
日本の将来のためにも、そのような子供達を多く増やさねばなりません。

塩分と動脈硬化(脳梗塞)との関係を、食習慣とプラークとの事実関係を踏まえて検証します。

塩分(食塩消費量)と動脈硬化(脳梗塞・心筋梗塞での死亡率)との疫学調査を行うと以下の結果が出ます。

血圧計しかなかった時代に、塩分過多==血圧上昇==動脈硬化==脳梗塞 と考えられていたのは無理ありません。しかし日本の食習慣がガラリと変わった今日もなお、脈々と現代の医学に受け継がれてきているのです。

まさか食用油や砂糖が脳梗塞の犯人の主メンバーなどと疑うことなく、犯人を捜査(疫学調査)してきたのでしょう。犯人を初めから塩分と決めてかかって捜査(調査)していたに違いありません。食用油などを疑うこともなく・・・。

他方で、現代の魔法的な検査機器である超音波装置を用いて、頸動脈などの血管プラークと食習慣(食事・食べ方)を詳しく検討すると、以下の結果が出ます。

T-maxとは、その人の血管の総合汚れ指数(頚動脈、右鎖骨下動脈、腹部大動脈、大腿動脈の最大プラークのmmを合算した数)です。

つまり、動脈硬化(血管プラーク)の進行を左右する大きな因子はアルコール多飲、揚げ物・肉類・甘い物の多食であることが判明しました。

塩分摂取量は全く考慮せずともこのような明確な結果が出るのです。

つまり、T-maxの1.0mmは10年分の汚れに相当しますから、+1.0mmとは10年も早く、脳梗塞・心筋梗塞で倒れる計算になります。
ですから、アルコールを飲み過ぎた人(T-max=10.2mm)は、普通の同級生(
T-max=7.5mm)よりも約27年も早く脳梗塞・心筋梗塞で倒れる計算になります。

同様に・・
1) 甘い物大好きな人、魚が嫌いな人、肉が好きな人は約10年も早く倒れる。
2) 揚げ物大好き、野菜嫌い、肉大好き、アルコール大好きな人達は約20年も早く倒れる。・・・疫学調査しないでも将来が見通せるのです。

脳梗塞・心筋梗塞の予知における血管プラークの観察は、天気予報にたとえれば、気象衛星を使った天気予報と同じなのです。

動脈硬化の危険因子に頼る診断法は、天気予報で言えば、過去の気象データからの推測の天気予報に相当するでしょう。

ここからは、テレビの「秘密のケンミンSHOW」的にデータを示します。

食用油の消費量を調べました。 脳梗塞と関係ありますね。
しかも、食塩消費量のパターンに酷似しています。

豚肉の消費量を調べました。 脳梗塞と関係ありますね。
・ しかも、食塩消費量のパターンに酷似しています。

食塩消費量の多い県と、少ない県を並べて, 脳梗塞が少ない県が塩分を少なく摂取しているかどうかを調べました。

塩分摂取が少ない県が、脳梗塞の少ない県に散見されます。
福井県は塩分摂取量が多いのに脳梗塞は少ないですね。

食用油消費量の多い県と、少ない県を並べて, 脳梗塞が少ない県が食用油を少なく摂取しているかどうかを調べました。

食用油の摂取が少ない県は、脳梗塞の少ない県に多くみと認められました。
沖縄県は食用油消費が多いのに、脳梗塞の少ない県ですね。

豚肉消費量の多い県と、少ない県を並べて, 脳梗塞が少ない県が豚肉を少なく摂取しているかどうかを調べました。

豚肉消費の多い県に、脳梗塞の少ない県は見あたりません。
また、豚肉の消費が少ない県に脳梗塞の少ない県が多くみられます。

回りくどい解説をしなくても、塩分が動脈硬化の主な犯人であるという疫学的な証拠はこれで崩れることになります。

「人類の進化と動脈硬化」の日本のテレビ放映がありましたが・・現代人の動脈硬化の進行が・・血圧計で得られた結果を基に、「塩分である」とする結論でした。

米国の放送局なら間違いなく異なる結論になるはずです。

結論:塩分制限しても動脈硬化の進行(脳梗塞・心筋梗塞の発生)は止められない。

ただし、塩分の摂り過ぎは高血圧になりやすいのでご注意下さい。
高血圧は脳卒中の中の脳出血を引き起こします。

塩分制限して安心していませんか? 血圧が安定して安心していませんか?

とにかく8カ所の血管エコーをお受け下さい。
遠方の方は、せめて頸動脈エコーでも受けて下さい。

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