脳梗塞・心筋梗塞の予防法

13年間続いた「夜間狭心症」が、動脈プラークの退縮に伴い、完治したと思われる1例。

「夜間狭心症」とは、夜寝ている時に起きる狭心症で、冠動脈が攣(れん)縮することで一時的に血管が細くなり、心筋が一時的に虚血状態となり、動悸や胸の圧迫感(痛み)などを訴える病気とされています。

根本的に治す方法は、現在ではないとされ、薬で調整しながら経過を見るのが一般的です。

今回、コレステロール低下薬・血管拡張剤の服用にて、頭痛などの副作用が生じ、薬を服用困難な症例で・・13年以上も「夜間狭心症」に悩まされ・・・かなり遠方にも関わらず・・・・・当院へ受診された方が・・

「RAP食」&EPA製剤を開始したところ、開始後から徐々に症状は軽くなり、8ヶ月後には「夜間狭心症」が治癒状態となり・・・10ヶ月後の2度目の診察では、動脈プラークの退縮が確認されました。

今回、RAP食による動脈プラークの退縮に伴って・・・・臨床診断である「夜間狭心症」が完治したと思われる症例を経験したので報告します。

「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」

症例 67歳 女性
(写真1)

<現病歴>
2009年12月 頃 (54歳)睡眠中に胸の圧迫感&動悸が出現 数回/月

  大きな循環器病専門病院を受診 精査にて・・「夜間狭心症」と、診断される。
  コレステロール低下薬&血管拡張剤を処方される・・も、頭痛出現のために服用困難に。

2018年12月 頃 夜間の胸の圧迫感は継続し・・・1晩に2〜3回起きることも。
2019年1月  心臓血管専門のクリニック受診
  冠動脈CT=1カ所軽微な狭窄(1/年検査指示あり)
  スタチン剤のリバロ(2)1T,1x処方され服用すると、LDLが44まで低下。
  不安を訴えるも・・・問題ないと言われ・・
  でも不安なので・・・以降は・・採血前の4日間だけの服用とした(自己意思で)。
2019年12月  頸動脈エコー 右max-IMT=0.9mm 左max-IMT=1.0mm :特に問題なし
2020年1月   冠動脈CT=1カ所狭窄(軽微)
2021年1月   冠動脈CT=1カ所狭窄(軽微)  
  ピタバスタチン(2)1T,1x-処方継続あるも・・服用は採血前の4日間のみ。
2021年8月中旬 LDL=94 TG=56 HDL=48 (スタチン剤:採血前の4日間のみ服用)
2022年3月頃 胸の圧迫感の発生が継続、ひどい時は毎晩・・普通に週に2〜3回は・・深夜に胸の圧迫感が出現し・・・安眠できない・・不安な日々が・・その後も延々と続く。
 「藁にもすがる」思いで・・(本人の言)・・九州行きを決意し・・

2022年7月上旬 当院初診 (67歳) LDL11 TG=60 HDL=56 (スタチン剤:服用なし)
 初診時の8カ所の血管エコーが(上写真)写真1。 *脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=3 (0〜4)
確かに、頸動脈にプラークは無く、LDLも正常で、循環器病院では・・動脈硬化の関与は・・否定されそうです。

<治療>
・当時のRAP食を指導
・採血前の4日間だけ服用していたスタチン剤…来院以降は完全に中止
・EPA製剤 1800mg/日 開始
・ラックビー微粒N,2g,2x 開始

<経過>
2023年5月下旬 上旬: 2回目の受診 (血管エコー検査)
 LDL=137 TG=53 HDL=52 (スタチン剤:服用なし)

血管エコー所見:(IMT=プラークの厚さ)
右大腿動脈IMT(上位)=2.71→2.60 mm----(写真2)プラーク退縮
右大腿動脈IMT(下位)1.58→1.44 mm----(写真2)プラーク退縮
腹部大動脈IMT=1.64→1.43 mm---(写真3)プラーク退縮
左大腿動脈IMT=1.84→1.64 mm----(写真3)プラーク退縮

<2022年7月上旬 以降の臨床経過のまとめ>

・RAP食の禁止事項や・推奨事項を守ることによって・・・13年間も悩み続けた、「夜間狭心症」の症状が、当院受診後・・徐々に頻度と程度が軽くなり、8ヶ月後には、完治の状態になった。(図1)

<考察>
1)腸内環境を健全に保つことが、マクロファージ活性化のためには非常に重要なのですが、
本症例は、完治するまで8ヶ月も要しました。 経験上、安静時狭心症の症状は・・3〜4ヶ月後には消失する場合が多いのですが・・

もし・・コロナ禍で・・うがい薬を使用していなければ・・・もっと早く症状が消失し・・もっと顕著にプラークが退縮していたものと考えられます。 (血管エコー・実例研究 29))

2)初診時のLDL=111 10ヶ月後にプラークの退縮を確認した時点でのLDL=137
 LDLは正常上限(140)近くまで上昇していますが、プラークの堆積は進行せず・・・むしろ退縮しています。このケースでも、プラークの構成成分・成因はLDLではないことは明白です。
3)冠動脈の痙攣で生じる「血管攣縮性狭心症」の治療について・・現代医学での・・専門家による見解を図2に掲載いたしました。

専門家の回答のまとめとしては・・『治療としては、薬で抑え込みつつ(冠動脈を拡張させる薬など)・・対症療法(ニトロ舌下錠など)で対応可能。根本的な治療法は開発されていない・・・。日常生活は普通でいい・・・。深夜に息が詰まった感じで目が覚める(ある種の不安神経症)パニック障害なども念頭におく必要がある。』 これが現代の標準医療です。

NHK「健康ch」のQ/Aでの回答としては・・食事療法に関するコメントはありませんが・・・

冠動脈攣縮性の狭心症である 「夜間狭心症」が・・・・食事療法とEPA製剤などで、根治しうる・・ということを証明いたしました。

狭心症に関しては、症例提示(動脈硬化の未来塾 135))や多数例での検討(動脈硬化の未来塾 41)) など・・すでに掲載済みです。

睡眠中の、突然の「胸の圧迫感」「動悸」「息ができない」などは・・「パニック障害」「睡眠時パニック発作」として・・・心療内科へ受診(紹介)される場合も多いと考えられます。

・・・「パニック障害」・「睡眠時パニック発作」と・・診断されて・・長期間・・服薬加療中の方・・・

実は・・・脳動脈の動脈硬化(プラーク)が原因で、脳血流がダウンして・・・パニック症状・を来している場合があります・・・(動脈硬化の未来塾 92))

<まとめ>
45歳以上で・・いわゆる血管攣(れん)縮性の「安静時狭心症」「夜間狭心症」様の症状(胸の圧迫感・動悸・ノドの詰まり感・息苦しい、など)が・・・慢性的にある方

「パニック障害」や「睡眠時パニック発作」の診断がついていても・・・

頸動脈エコーが正常でも・・・LDLが正常でも・・・・

→薬に頼り続けるのではなく・・・現状に甘んじることなく・・・

→まずは8ヶ所の血管エコーを受け・・

→コレステロール低下薬を必要としない・・『プラーク退縮が可能な医療』を・・

→なるべく早く・・受けられることを・・検討されてはいかがでしょう。

 

2023年5月29日 記載
真島消化器クリニック
真島康雄

 


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