久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
Google 検索「頸動脈プラークは治るか」では、トップの返答として、
『頸動脈エコーで見たプラークについては、スタチンというコレステロールの薬を飲むことで、ある程度は改善可能です。』と案内されますが、本当でしょうか?
信頼できる二重盲検試験による情報(大規模臨床試験ENHANCE試験:米国)では、スタチン剤などのコレステロール低下薬を2年間服用しても、プラーク退縮は認められていませんし、ENHANCE試験中のプラークの増減のグラフからは、むしろコレステロールを下げることによって、プラーク悪化の傾向が疑われます。
B-ing検索「頸動脈プラークは治せるか」では、トップの返答として、『自然に治ることはありません』と太文字で大きく表示されます(2023年10月29日現在)。
ですから、動脈硬化(頸動脈プラーク)を治せる食事療法もAIはご存知ではありませんし、動脈硬化改善に効果があるとされる様々な情報には映像(視覚)での証明がなく、どれを信じていいのか、AIでさえ判断不能の時代であることをまず、ご認識ください。
今回は、「スタチン剤を服用しながら、2年間で頸動脈プラークが0.7mmも増悪中の症例で、スタチン剤を中止してRAP食を開始したら、ほぼ継続的にプラークが退縮し、その長期観察を行い得た1症例」を報告します。
「今回の報告に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」
<症例> 60歳男性
<初診時の8カ所の血管エコー>
<初診までの経過>
<治療>
<結果>
1)2ヶ月間も難治であった両膝痛が、RAP食開始後1〜2ヶ月で完治した。
2)5年9ヶ月後には、左頸動脈プラークが4.90→2.76mmへと明らかな退縮を認めている。(写真2)
体重は62.0Kg→62.5Kg 5年9ヶ月前と同じであった。
<経過の詳細>
2018/1月下旬 | 2019/4月 | 2020/9月 | 2022/8月 | 2023/8月下旬 | |
---|---|---|---|---|---|
LDL | 81 | 76 | 92 | 102 | 77 |
TG | 132 | 227 | 110 | 130 | 109 |
HDL | 59 | 49 | 66 | 71 | 62 |
<考察>
したがって、今回の順調なプラーク退縮の背景には、スタチン剤の中止もかなり貢献しているものと考えられます。
ですから、頸動脈狭窄を認める症例では、まずスタチン剤ではなく、可能ならEPA製剤やEPA+DHA製剤の服用が望ましいと考えられる。
3) 両膝痛の完治に関しては、RAP食でプラークが退縮し、関節組織の血流改善により、動脈硬化性の関節症が軽減・回復したためと考えられます。
他にも、RAP食にて脊柱管狭窄症(動脈硬化の未来塾 109))や、股関節痛&膝関節痛が完治した症例(動脈硬化の未来塾 101))も認められる。
3)プラークが順調に退縮したが、経過中にLDLの変動は特に認めていない。
つまりLDLが低値症例でも、さらにLDLを下げることなく、プラークが確実に退縮し得ることを確認できた。
この観察された事実は、「LDLは、より低い方がいい」とする医学の常識を打ち破る、非常に重要な観察結果だと思われる。
現在の動脈硬化治療に関するガイドラインは、プラークを退縮させることに貢献しているかどうか疑問である。
ガイドライン通りに医療を受けていても、この症例以外(動脈硬化の未来塾 121))でもプラークが悪化する場合があるという事実は広く共有されるべきである。
<まとめ>
***********************************************
- レオナルド・ダ・ヴィンチ -
“ あらゆるものの部分はそれ自身のうちに全体の性質を保っている。”
2023年10月30日記載
真島消化器クリニック
真島康雄