久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
初診から最初の再診時にプラークが退縮することは、普通に経験されますので、初期のRAP食では脂質摂取量を減らせば、自然とプラークは退縮し続けるものと信じていました。
でも、長期に観察を行うと、脂質制限しているのにプラークが悪化するという、非常に不思議で理解不能な現象に度々直面します。
その原因の解明に多くの時間を費やす必要がありました。
今回報告の症例は、
5年前からコレステロー低下薬であるスタチン剤を服用していたのに、急速にプラークが悪化(肥厚)中であった症例で、最初の6ヶ月では、スタチン剤の中止と当時のRAP食が功を奏し、著効が得られました。
しかし、その後に5回のプラーク悪化を経験し、その都度のRAP食の修正が功を奏し、7年後には3カ所の観察ポイントが、いずれもやっと満足できるレベルまでプラークが退縮した症例を経験したので報告します。
「今回の報告に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」
<症例> 62歳 女性
<初診時の8カ所の血管エコー>
脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4 (0〜4) 血管エコー・実例研究 7)
<家族歴>
<初診までの経過>
食習慣
「甘いもの=好き、肉=大好き、野菜=大好き、魚=大好き、揚げ物=好き、 酒類=ビール350/d & 4-5回/月の飲み会では ビールジョッキ5〜6杯、運動=大いにしている、タバコ=22〜50歳頃まで 1日12〜13本 以降の喫煙歴(-)
その他:
2014年頃まで、毎朝トースト&バターの習慣。
<治療>
A-病院へ診療情報書を提供し、担当医より服薬の変更の件を快諾いただいた。
<結果>
1. 右頸動脈分岐部のプラークが、7年間で3.88 mm→1.84 mmへ退縮。
2)左頸動脈分岐部のプラークが、7年間で4.14 mm→1.38 mmへ退縮。
3)左右頸動脈分岐部の、7年間における経時的なプラークの変化。
2)第3の観察部位:左大腿動脈エコーにおける経時的なプラークの変化。
コメント:
プラーク肥厚の減少 mm | プラーク増減の表現 |
---|---|
≧0.40 mm | 著効 |
0.30〜0.39 mm | かなり改善 |
0.15〜0.29 mm | 改善 |
0.02〜0.14 mm | やや改善 |
0.00〜0.01 mm | 不変 |
プラーク肥厚の増加 mm | プラーク増減の表現 |
---|---|
≧0.40 mm | 激しく悪化 |
0.30〜0.39 mm | かなり悪化 |
0.15〜0.29 mm | 悪化 |
0.02〜0.14 mm | やや悪化 |
0.00〜0.01 mm | 不変 |
<臨床経過の詳細>
・血管プラークの経時的変化
年/月 | 2016/10 | 2017/4 | 2017/10 | 2018/4 | 2018/10 | 2019/3 |
右頸動脈分岐部* | 3.88 | 3.02 | 2.50 | 2.35 | 2.14 | 2.10 |
左頸動脈分岐部* | 4.16 | 3.06 | 2.76 | 2.81★ | 2.50 | 2.45 |
左大腿動脈* | 2.22 | 2.20 | 2.05 | 2.16★ | 2.32★ | 2.25 |
年/月 | 2019/9 | 2020/10 | 2021/6 | 2021/11 | 2022/5 | 2022/11 |
右頸動脈分岐部* | 2.09 | 2.10 | 1.99 | 1.99 | 1.89 | 1.90 |
左頸動脈分岐部* | 2.32 | 2.61★ | 2.50 | 2.21 | 1.79 | 1.48 |
左大腿動脈* | 2.20 | 2.31★ | 2.22 | 2.11 | 2.20★ | 2.04 |
年/月 | 2023/5 | 2023/11 | ||||
右頸動脈分岐部* | 1.90 | 1.84 | ||||
左頸動脈分岐部* | 1.48 | 1.38 | ||||
左大腿動脈* | 2.13★ | 1.85 |
*=max IMT(mm) ★=悪化
・LDLの経過
2011年1月頃から リピトール(5)1、1x服用開始
2013年3月頃から(10)1Tへ増量し、
2016年10月中旬(当院初診)までアトルバスタチン(10)1T,1xで服用。
2015 /4 |
2016 /1 |
2016 /10 |
2017 /3 |
2017 /9 |
2018 /3 |
2018 /9 |
2019 /2 |
|
LDL | 122 | 105 | 78 | 150 | 139 | 146 | 145 | 131 |
TG | 117 | 102 | 73 | 100 | 86 | 122 | 120 | 98 |
HDL | 63 | 60 | 49 | 52 | 50 | 47 | 40 | 44 |
2016年10月中旬以降、現在までスタチン剤の服用なし。
2019 /8 |
2020 /8 |
2021 /5 |
2021 /11 |
2022 /5 |
2023 /11 |
|||
LDL | 135 | 135 | 149 | 172 | 154 | 166 | ||
TG | 112 | 102 | 116 | 103 | 105 | 142 | ||
HDL | 38 | 39 | 38 | 55 | 50 | 51 |
・体重の変化
初診時の2016年10月 42Kg ----→2019年3月 40Kg-------→2023年11月 41Kg
<プラーク退縮治療による症状の変化>
<考察>
<まとめ>
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- レオナルド・ダ・ヴィンチ -
“ ちっぽけな確実さは、大きな嘘に勝る ”
2023年12月12日記載
真島消化器クリニック
真島康雄