脳梗塞・心筋梗塞の予防法

LDL低下させずに動脈硬化を改善させ、外眼筋麻痺(複視)・寝汗・SASを治せました。

66歳の男性で、急に物が二重に見え(複視)、脳外科での脳MRIでは異常なく、眼科を2施設受診し「外眼筋麻痺」の診断受けても改善しなかった麻痺症状が、血管プラークの改善治療を開始した1ヶ月半後には完全に治り、同時に寝汗・SAS・肩こり・狭心症が治りました。

この方は「糖尿病」ではなく、脳外科、眼科では外眼筋麻痺の原因は不明といわれ、治療を諦めかけておられました。

食習慣点数(参照1)は357点もあり、聞くと「甘い物が大好きで、揚げ物好きで、肉も好き」の食習慣で、血管プラークの肥厚(動脈硬化の進行)は疑いの余地がありません。

上の写真は、2011年11月初旬の初診時の写真ですが、全身の血管にはプラークがべっとりと厚く見られます。

脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4 (参照2)ですし、T-max=13.6 極めて危険な状態です。

血管エコー所見から、複視の原因は、脳の小血管へのプラーク堆積による血流障害による神経障害(外眼筋麻痺)の可能性が疑われます。
(普通は、その原因は糖尿病とされていますが、黒幕の真犯人はプラークです)

石灰化したプラークは硬くてマクロファージは食べませんので、プラークの改善はあまり望めませんので、観察ポイントとしては不適です。

ですから、柔らかいプラーク(この方では右の総頸動脈)を治療効果判定のために、正確に計測し観察を続けました。

2011年11月初旬 初診時
LDL=119の値は正常範囲内です。プラークの原因は食事由来の酸化(劣化)コレステロール(脂質)ですから、食習慣をきめ細かく聴取し、具体的に飲食を指導致しました。

狭心症もあることから、バイアスピリン(100)1.1x+胃薬&エパデールS(900)2.2xを併用で開始しました。

前医から5年以上も継続して服用中の、フランドール錠(狭心症に)、血圧のお薬:ヘルベッサー、アダラートなどは続行して服用。

2011年12月5日頃(治療開始1ヶ月目)に、複視の症状改善しているような感じを受け、

2011年12月20日頃(治療開始1ヶ月半)には、物が二重に見える(複視)症状は完全に消失しました。

同時に20年間も原因不明だった、「冬の寝汗」も消失。睡眠時無呼吸症候群(SAS)も治りました。

2012年1月初旬の当院での血管エコーでは、上の写真のように、プラークの厚さが1.4mm・1.3mmへと改善傾向にあることを確認しました。LDL=137 やや高めで推移。

2012年6月の血管エコーでは、プラークが更に1.1mmまで改善。LDL=125 初診時より高めで推移。

この時には、数年来あった「階段の息切れ」「頑固な肩こり」が完全に治っていることに、質問して初めて本人がそのことに気付かれました。

でも、一番喜ばれたのは、「これで免許証の更新ができる」という差し迫った切実な悩みの解決でした。

私としては、脳梗塞・心筋梗塞という“未病”を治したつもりなのですが。

コメント

1)動脈硬化改善(プラーク改善)のために、肝臓で作用するLDL合成阻害薬を使って、LDLを無理に下げる必要はありませんでした。

2)狭心症(胸の圧迫感)の消失はEPA製剤(エパデールS)の長期服用が関与していますし、プラークの改善にもEPA製剤はプラスに働きます。

3)冬の寝汗は、脳の発汗中枢に酸素を供給する動脈が、プラークの沈着によって血流障害が生じたためと思われます。
以前、冬の寝汗を訴えて5年後に脳梗塞になった症例を思い出しました。

4)「肩こり」も筋肉の血流障害が原因でした。
(プラーク改善例は、治療前からあった「肩こり」がほとんどの症例で、ウソのように消失しますので)

5)SAS(睡眠時無呼吸症候群)が消失しましたが、現在ではこの病気の原因も脳動脈のプラークによる血流障害である場合がかなり多いのです。
舌や喉の異常と思い込むと、脳梗塞・心筋梗塞の予防のチャンスを失うば場合も考えられます。

6)“うつ病”も前頭葉という脳の血流障害によることが多いですが、“顔面神経麻痺”や“三叉神経痛(顔面神経痛)”なども脳動脈の動脈硬化が原因である場合がありますので、ご注意下さい。

「血管プラーク病」という発想(参照3)をもって動脈硬化性病変にアプローチすれば、様々な動脈硬化関連疾患を短期間に未然に治せる可能性が生まれます。

一口メモ

LDLが下がっていないのに・・なぜ?・食習慣を変えることで動脈硬化が良くなるのでしょう?

コレステロール合成阻害剤でLDLを下げると、酸化していないLDLがとても良く下がります。そして、酸化LDLも下がるのですが、それよりも、口から入る酸化コレステロール(劣化・酸化脂質)の量がとても多いからです。

ですから、脳梗塞の再発が普通に起きるのです。

逆に、薬で“酸化していないLDL”や少しの酸化・LDLを下げないでも、口から入る多くの酸化・劣化コレステロールを制限する人は、プラーク沈着(動脈硬化)が改善します。(参照4

そうすれば、脳梗塞・心筋梗塞の再発などは医学的・物理学的に考えて有り得ないことです。

追記として

2012年8月30日のNHKテレビで、「糖質制限食が糖尿病の新しい食事療法」として取り上げられていました。

糖質制限でA1Cは下がるでしょうが、テレビでは肉のミンチの炒め物、から揚げ、などが平気で食卓に並んでいました。

あの劣化脂質はA1Cを上げないかもしれないけれど・・・、血管にプラークとして沈着しないのだろうか??と強い胸騒ぎを覚えました。

例えば、LDLが下がっても、血管プラークが悪化したらいけません。

テレビの冒頭では、糖尿病は心筋梗塞などをもたらす恐ろしい病気と紹介しました。

それなら、A1Cが下がっても、血管プラークが沈着してはいけないのです。(参照5

また、体重を減らしても、血管プラークが悪化してはいけないのです。

テレビで制限していた“白ごはん”は食べ過ぎると血糖を上げたり、皮下脂肪となって体重増加(参照6)につながるでしょうが、劣化・酸化脂質は全くといっていいほど含まれず、動脈硬化とは無縁の食べ物です。

また、“白ごはん”は主食の中では脂質が最も少なく、アミノ酸の形で蛋白質(植物性蛋白質)を摂取できる「ベストの食べ物」なのです。

今回のNHKのテレビをご覧になっても、糖尿病の方は、「プラーク病の予防」の観点から、 “白ごはん”+劣化(酸化)コレステロール(脂質)制限食をお勧め致します。

「血管プラーク病」の可能性のある方(自分では判らないでしょうが)や、その発病を心配されている方など、ぜひ早めにご相談下さい。

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