脳梗塞・心筋梗塞の予防法

現在の「動脈硬化のメカニズム」図説や解説は改正されるべき。

一般に、日本では動脈硬化の成因・原因について、図を交えて次のように解説されています
(ある製薬メーカーのサイトに記載されている「動脈硬化のメカニズム」)

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1.高血圧や糖尿行などによって血管に負担がかかると、血管の内皮細胞が傷つき、内皮が持っている動脈硬化を防ぐ働きが失われます。

2.すると血液中のLDLが内膜に入り込み、酸化を受けて酸化LDLに変化します。それを処理するために白血球の一種である単球も内膜へと入り込み、マクロファージに変わります。

3.マクロファージは酸化LDLを取り込んで、やがて死んでいきます。この結果、内膜に、LDLに含まれていたコレステロールや脂肪が、お粥のような柔らかい沈着物となってたまっていき、内膜はどんどん厚くなります。 このようにしてできた血管のコブをプラーク(粥腫)と言い、プラークができた状態を粥状(アテローム)動脈硬化と言います。なお HDLはプラークからコレステロールを抜きとることで、動脈硬化を解消する方向に働きます。プラークができると、血流が悪くなり、血管が少し収縮しただけで血流がとだえて、その血管により酸素や栄養が送られている心臓や脳に症状が起こります

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この文章・解説に誰も異を唱えないのが不思議です・・・

(動脈硬化の成り立ち・「メカニズム」に関する私の仮説は、この記事の後半に図解しています)
(下記のコメント 2018年8月31日追記)

現在、真実かのように信じられている「動脈硬化のメカニズム」の仮説は、Rossらが40年以上も前に提唱した“Response to Injury”説(1976年)を元にしており、危険因子が動脈硬化を発症させ、進行させる・・つまり、食事は重要ではなく、 「“薬”で動脈硬化の危険因子をコントロールしましょう」・・という教え。

注}この学説が発表された時代背景として、1973年に日本の遠藤章らによって最初のスタチン剤が発見され、1976年に論文誌上で発表されました。1976年頃は日・欧の製薬会社でコレステロールを下げる薬の開発競争が激しい時期で、Rossらは純粋にスタチン剤が人類に貢献するかもしれないと思ったに違いありません。

ですから彼らは、プラークを食習慣に関心を持って観察し続けている40年後の実地医家の私にとっては矛盾だらけ(後述)の仮説を、1976年に勇み足的に発表したに違いありません。

あたかもスタチン剤が動脈硬化の進行を食い止める救世主になり得るかのような仮説が組み立てられています。

これは私の推理ですが、晩年にその矛盾に気付いたRoss氏は、その矛盾点を埋めるべく、1999年に遺作とも思われる論文を発表し「動脈硬化は炎症性疾患である」と述べられています。さぞ心穏やかになられたことでしょう。

でも、もし炎症や高血圧で血管が障害を受けて動脈硬化になるなら、高安病(大動脈炎症候群)のごとく、動脈壁の肥厚の多くは同心円状になるはずですが、実際の動脈硬化の動脈壁は偏心性の肥厚なのです。

臨床家がこの炎症説を信じていない証拠として、頸動脈プラークの治療にスタチン剤は使用しても炎症を抑えるステロイド剤は使用しません。

私の想像ですが、Ross氏は最後まで自分の仮説に納得していなかったのでは?と考えています。本当は“Response to Injury”説(1976年)を修正したかったのでしょうが・・世界中が信じ切っている学説を修正変更するだけの証拠が見つけられなかった。・・だから血管内皮細胞障害の原因を“炎症“にしてしまった。

でも、最初のその“炎症“の原因は何なのでしょう? と、問いたくなりますが、それはさておいて、

「高血圧患者の経過途中に動脈硬化による症状が現れる」・・、このように、否定しがたい実際の臨床的な現象を内科医から見せつけられれば、基礎研究者は誰しもが血管の内皮細胞障害ありきの学説である“Response to Injury”説を捨てられないでしょう。

でも、その臨床的な観察である“「高血圧患者の経過途中に動脈硬化による症状が現れる」”は、血管エコーがない時代に、身体の血圧を肉眼と耳と手を使って計測してきた事による錯覚(事実誤認)に過ぎません。

見破るのが難しい手品を素人が観せられて感動するのと同じです。

血管エコーによる動脈プラークの観察がなされて手品の種明かしがなされれば、“「動脈硬化(プラーク)が出来はじめて、その結果として高血圧になって・・その後もプラークが溜まり続け・・そのうちに血管病で倒れる・・」”という真実の臨床経過に動脈硬化の研究者は容易に気付くことでしょう。

(備考:動脈プラークとは(動脈硬化の未来塾 31))、 血管エコーとは血管エコー実例・研究 1))

Ross氏らは、この動脈硬化の成り立ちの巧妙なトリック(マジック)に気付けませんでした。

Ross氏らの学説が発表された1976年頃には,まだ血管エコーでプラークを経時的に精密に観察できる科学技術が世界に存在していなかったのです。

私は「動脈硬化(プラーク堆積)が先で、高血圧が後」であるということを、超音波装置の飛躍的な進歩のおかげで科学的に証明できましたが(動脈硬化の未来塾 56))、昔の彼らは「高血圧が先で、動脈硬化(プラーク堆積)が後」・・という臨床的な解釈(科学的な証明はない)をそのまま信じて “Response to Injury(細胞障害)”説を唱えざるを得なかったのです。

「高血圧が先で、動脈硬化が後」を科学的に証明するためには、高血圧を起こさせて、それが持続することで動脈壁にプラークが溜まらねばなりません。動脈圧は元々高圧ですから、その血圧を50%程度上げてプラークが増加するかどうかの実験をネズミかヒトで行わねばなりません。

ヒトの場合、全身の血管プラークを観察できたとしても、プラークが肥厚していない、普通体重の高血圧のヒトを探すのは至難の業です。

つまり、どんなに考えてもプラーク堆積が先で高血圧状態はその後の結果なのです。「脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因」(幻冬舎 2018年)では更に詳細に解析して掲載しました。

公的機関では、動脈硬化発症(プラークが溜まる)原因として、現在信じられている理論“Response to Injury”説と、「高血圧や高脂血症は必要ではなく、まずリポ蛋白(脂質)が動脈壁に溜まる」とする“Response to Retention(壁内貯留)" 説:(1995年Williamsら)の仮説を併記していただきたいですね。

Williamsらの仮説では、(生活習慣などの何らかの影響で)まず危険因子の関与なく、プラークが溜まり、その後に起こる現象を動脈硬化として捉えています。

10年間プラークを観察し続けた経験からは、Williamsらの仮説が真実に近いのではないでしょうか。

動脈硬化のメカニズムに関しては、プラーク&石灰化したプラーク改善のシナリオを図解した(動脈硬化の未来塾 11))も御一読ください。

なお、Rossらの仮説が真実だとしたら、プラーク退縮のシナリオを描けませんし、抗炎症剤を使わないで、LDLを下げることなく石灰化したプラークが治るはずもありません。でも石灰化したプラークも普通に退縮することは事実です(動脈硬化の未来塾 82))

<前述の「動脈硬化のメカニズム」の説明文に対する疑問>

この文章に誰も異を唱えないのが不思議です・・・

1. に対する疑問・・に思う「事実関係」

a) 高血圧で血管の内皮細胞が傷つき、それが原因で動脈硬化が進行するなら・・、運動を職業としている人達は、一般人と比べて動脈硬化が進行していなければいけません・・・でも,そんな事実はありません。運動すれば血圧が・・かなり上昇するのは明らかですけどね・・・
b) 高血圧や糖尿病などが・・ない人も、普通に動脈硬化になる(プラークが溜まっている)ことを説明できない・・・(サイトに掲載)

2. に対する疑問・・に思う「事実関係」

a) LDLが高い人ほどプラークが進行していなければいけませんが、そのような事実はありませんし、LDLが低い人も普通に脳梗塞・心筋梗塞になる事実があり、LDLが上昇しても「RAP食」とEPAでプラークがほとんどの例で退縮するという事実があります。(サイトに掲載)
b) LDLを薬で強力に下げても・・脳梗塞・心筋梗塞の1次予防でプラークが明確に退縮する事実はありません。

3.に対する疑問・・に思う「事実関係」

a) 「マクロファージが血管壁に溜まったLDLを食べ過ぎて・・死んで・・その繰り返しで・・プラークになる」・・のだったら・・どうして マクロファージが、主に血管のカーブ部分や分岐部にプラークが堆積するのでしょう?
分岐部のプラークを食べると・・どうしてマクロファージが死ぬのでしょうか?
b) 総頸動脈のプラークの表面は滑らかで平坦です・・プラークの原因がマクロファージなら・・どうして・・均等にマクロファージが集合して・・均等に死んでいくのでしょうか?
c) HDLはどのようにして・・プラーク状態のLDLを血管腔内へ引き抜くというのでしょうか?・・血管腔内はプラークが存在する血管壁より遙かに高い水圧があります・・例えばですが・・海中の潜水艦のハッチを開けて・・潜水艦のプラークを取り出すようなもので・・医学的に机上では可能でしょうが・・物理学的には不可能です。HDLは単なる物体ですし、生物でもありません。また、HDL値が高くてもプラークは普通に存在します。

総合的な疑問

塩分の摂り過ぎによる高血圧は動脈硬化になりやすいが、運動による高血圧は動脈硬化を改善するのでしょうか?・・話しがややこしくなりますね・・腑に落ちないとはこのことです。・・どこかにウソがあると・・話のつじつまが合わなくなります。

この記事を書かれた学者の方は、塩分が本当はあまり関係ないことをご存じで・・でもLDLがいかにも厄介者に表現することで・・スタチン薬使用を・・医師の卵の間に・・啓蒙しようとしているのでは・・と、読み取れます。

そのためには、マクロファージを余計な仕事をしている仕事人・・として・・登場させなくてはならないのです。

上記の「動脈硬化のメカニズム」を正当化させるには、プラーク退縮の立役者である、マクロファージを無実の罪で、何十年も投獄させなければなりません。

それでも、この献身的なマクロファージには・・ある「合理的な意思」・・が存在するように感じます。

なぜなら、血管の狭窄率が高度な場所は、血管自体が拡張し、その部位が危険であるという情報がマクロファージに伝わり、他の場所よりも・・より集中的に優先してプラークを貪食している印象があるからです・・

マクロファージは死に際で・・さぞ無念な心境でしょう・・察するにあまりあります。

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<私のつぶやき.1>

現代版の動脈硬化仮説はLDLを悪者扱いして・・マクロファージでさえ厄介者扱いですが・・

本当の悪は・・善と紛れて食品の中にいます。自分の身を守ってくれる本当の神様(成分)は・・食品の中や善玉菌の中にいて・・マクロファージという生物を介してあなたを実際に守ってくれているのです。

地球上の生物は全て「太陽」のお陰で生きているのですから、太陽への感謝は当然ですが、

健康を願って毎日手を合わせて拝むなら・・「良い食品」とその「生産者」にすべきです。プラークを退縮させる食べ方の具体策は「RAP食」で検索を。

マクロファージの死骸・・それは、あなたのせいで・・あなたのために働きすぎて・・殉職した・・可哀想なあなたの分身(DNAが同じ)の亡骸なのです。

それでもあなたは・・「飲み食い」「喫煙」を改めようとしないですか?

私の動脈硬化のメカニズム(以下の図)仮説が正しいことは、多くのプラーク退縮症例が証明しているかと思います・・・いかがでしょう。

塩分は動脈硬化の原因・および動脈硬化進行の原因でもないのです。
(当院では動脈硬化改善の為の塩分制限指導は一切行っていません)

<私のつぶやき.2>

当院へは久留米大学から4年生が毎年10名ほど研修にやってきます。
聞けば・・特に血圧と動脈硬化の関係の講義が良く理解できなかったが、当院の説明でやっと納得できた・・と・・の感想などがあり、学生でも判りやすい・・動脈硬化の説明の資料の必要性を感じました。

今後の研究者の卵や、私の考えに理解・納得されて臨床現場で動脈硬化を治す取り組みを考えておられる先生や、来院者へのパンフとして活用いただく為に、院内資料を作成しました。

以下の資料は、当院受診者にのみにお渡ししている資料の一部です。
内容的に、現在の医学常識には反しますが、未来的に公益性が上回ると判断致しましたので公開致します。

動脈硬化の真の原因は「アルコール多飲」や「揚げ物・油炒め・脂の乗った肉や魚・乳製品・菓子パン類・大豆食品・あらゆる植物油(生でも)」などの食品を頻回に多食することであり、血中のコレステロールや高血圧、塩分摂取過多、その他の危険因子が原因ではありません。危険因子の多くは動脈硬化(プラーク)の結果に過ぎません。(前5行を修正:2018年8月31日)

血管内皮の炎症が生じるのは・・プラーク堆積が進行した状態からです。



上の画像をクリックすると大きい画像でご覧いただけます。

 

 

 

世の中には、Drでもスタチン派、ノースタチン派がおられます。
2009年頃までは私も論文・講演会を信じてスタチン派でした・・、しかし・・血管プラークとスタチンとの関係の事実や様々な有害事象の事実を知り、過去の論文の信頼性・経済的コストを考慮すれば・・・・ノースタチン派になるのは自然の成り行きでした。

驚くべきは・・ノースタチンにしてから・・プラークの改善スピードが速いように感じます。 「背水の陣」的な効果でしょう。

この経験を、後に科学的に立証しました。
動脈硬化の未来塾 52) 動脈硬化の未来塾 68) 動脈硬化の未来塾 69)  動脈硬化の未来塾 75)

皮膚科や小児科・整形外科の先生にノースタチン派のDrが多い印象ですが、小児のアレルギーや皮膚科の病気などは、特に食用油・脂・乳製品などに原因があることが広く知られており・・動脈硬化を治療する上では同じ方向性を向いています・・香川県の小学校で、既に糖尿病の恐れが10%程度あるそうですから・・小児科・皮膚科の先生にも、今後は動脈硬化治療に興味を持っていただきたいです。整形外科のDrは日頃から筋肉痛・関節痛・末梢神経障害などでの副作用症例を多く診療されている関係からでしょう。

スタチン派の先生へ・・動脈硬化予防は「スタチン治療が王道」とおっしゃらないで・・患者様の信頼を損ねる前に・・早めの方針転換をお勧め致します。

<私のつぶやき.3>

##:血管エコーや気象衛星のない過去に生きるのは危険

「気象衛星を駆使した気象予報官の気持ち」を考えたことがありますか?
もし「気象衛星を使えなくなり、昔の気圧、風向き、風力、湿度、気温・・これらの情報(いわゆる雨の危険因子)を駆使して、天気予報・台風進路予想を国民に向かってしなさい・・・」と言われたら・・・おそらくその予報官は落ち込んで・・ストレス性胃潰瘍になるでしょう。

でも、人類が人工衛星を発明していなかったら・・・おそらく・・その予報官も・・得意満面に・・危険因子を元に大きな声で・・「明日の天気は・・」「台風予測は・・・です」と、・・当たらないことを承知でアナウンスするでしょう。・・・昔は天気予報が当たらなくても恥ではありませんでしたから。

もし「血管エコー装置を長く使えなくなったら・・前述の天気予報官と同じで・・私はいわゆる危険因子(血圧、コレステロール値、A1c値、家族歴、肥満度、尿酸、脳MRI・・)などから、「脳梗塞・心筋梗塞の予知・予防や動脈硬化(プラーク)の治療をしなければいけません・・・・それは、現在の私にとっては耐え難い苦痛です・・すぐに胃潰瘍になり、自己嫌悪に陥り、うつ病になるでしょう。

もし、8カ所の血管エコー法が発明されていなかったら・・時々・・患者さんが脳梗塞・心筋梗塞になられても、運が悪かった・・と・・平気で診療しているにちがいありません

血管エコーを受けることなく、「脳のMRI=異常なし」所見のみで、決して安心してはいけません。

これからの臨床医は、少なくとも「頸動脈エコー」検査をしないで、国民の命、健康を預かってもいいのでしょうか・・寒気が致します。

装置さえ買えば「頸動脈エコー」は簡単です。Drなら、業者の技師から走査法を習えば・・明日からでも診察可能です。

装置は、当院で2010年から使用中の「日立・アロカのProsound 7 」などが適当でしょう。
プローブなどの特殊な付属品や、画像の条件設定は業者にお尋ねください。

天気予報と同じで・・病気から身を守るのは・・予兆や症状が出てからでは遅すぎます。

当院の未来塾では・・動脈硬化は既に解決済みの過去の病気と言っても過言ではありません。・・血管のプラークをエコーで初めて見た日から・・8年で普通に動脈硬化を治せるまでに研究が進歩するとは・・あまり想像していませんでした。

2015年8月8日 記載
2018年1月6日図&一部修正
2018年8月30年 図&記事を一部修正

 

 

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