久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
現在の標準的医療からすれば、中等度から高度の頸動脈狭窄症に内膜剥離術という手術やステント留置術が、ある程度のリスク覚悟で行われています。(国立循環器病研究センターのサイトを参照ください)
でも、ちょっとお待ちください。これらの観血的な治療を急ぐ必要は全くありません。
頸動脈狭窄症の治療に関してはすでに掲載済みですが(動脈硬化の未来塾 35)) (動脈硬化の未来塾 85))、90%以上の狭窄例でも改善するか?・・その問いに答えられる症例を経験しました。
主訴:左右の頸動脈狭窄症の指摘。できれば手術受けたくない。
<家族歴>
父:69歳で脳溢血、80歳で他界
<現病歴>
若い頃から飲酒++ 喫煙++だった
2013年 盲腸破裂で入院以降は断酒しその後も継続。
2015年10月 突然左目に雲がかかり・・数秒で治る(一過性黒内障)(動脈硬化の未来塾 73))
2015年11月 突然左目の右半分に雲がかかり・・数秒で治る(一過性黒内障)
眼科受診するも「異常なし」
2016年1月中旬 突然左目の右半分に雲がかかり・・数秒で治る(一過性黒内障)
2016年1月下旬 夕食時に右手に力が入らず箸を落とす。(脳梗塞)
遠方の某大学病院にて、左内頸動脈起始部に93%の狭窄
右頸動脈分岐部に60%の狭窄
「脳梗塞状態」と説明を受け同大に入院。
処方として:タケルダ配合錠(バイアスピリン100mg+ランソプラゾール15mg)1錠/日+プラビックス(75)1錠/日+アトルバスタチン(10)1錠/日-開始
<左内頸動脈狭窄症に対する内膜剥離手術の予定だった>・・が、本人の強い希望で手術を延期していただく。
2016年3月初旬 当院受診 左右の頸動脈に狭窄を認めました。
体重73.5Kg BMI=24.0 SAS:睡眠時無呼吸症候群の症状あり。
<治療>
RAP食で治療開始。(患者さんの強い意向で大学病院の担当医への連絡はしていません)&ラックビー微粒N,2g,2x服用開始し、2週間後以降は、薬局で新ビオフェルミンS細粒を購入し、添付のサジで1日3杯(毎食後1杯づつ)服用継続中(2018年11月)。
<結果>
(写真1)
左内頸動脈は、確かに95%の狭窄部位を認めましたが、約1年半のRAP食で径狭窄率が79%までに改善し(写真1)、内頸動脈の血管径も縮小しました。
コレステロール低下薬(下げるお薬)であるアトルバスタチン10mg 1錠は、本人の強い希望で2016年9月(当院初診の半年後)以降は中止になる。
2017年10月からはタケルダ配合錠(バイアスピリン100mg+ランソプラゾール15mg)が中止になる。(具体的な理由の説明なし。エコー所見の改善のため?)
(写真2)
右頸動脈分岐部は71%の狭窄でしたが、RAP食で40%狭窄までに改善
<8カ所の血管エコー所見> 2016年3月 当院初診時
1. 腹部大動脈max-IMT=6.22mm
2. 右大腿動脈max-IMT=2.33mm
3. 左大腿動脈max-IMT=2.43mm
4. 右鎖骨下動脈max-IMT=3.24mm
5. 右頸動脈分岐部max-IMT=3.97mm(写真で提示)
6. 左頸動脈分岐部max-IMT=6.70mm(写真で提示)
7. 右総頸動脈max-IMT=0.57mm
8. 左総頸動脈max-IMT=0.77mm
*:脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4 (0〜4)に評価 T-max=18.59 mm
<当院初診までの食歴>
食習慣点数=358点 (内、アルコール摂取点数=60点 :アルコール多飲群)
<食の好み>揚げ物:大好き、肉:大好き、魚:大好き、甘いもの:普通、野菜:好き、
運動:好きでない
<考察>
<その後の経過>
2018年5月中旬 左右の狭窄部のプラークは改善していましたが、その他の観察ポイントではプラークが悪化していました。
プラーク悪化の原因は・・・2017年9月〜2018年5月まで、納豆を1日2パック、豆乳を1日300cc,自家製豆乳ヨーグルト250g/日などと、大豆食品の多食が原因と考え、大豆食品を制限しました。(動脈硬化の未来塾 87))
2018年11月初旬にも元気で受診され、何事もなく、体調は非常に良好で経過中。
頸動脈狭窄症も、径狭窄率で右=39%狭窄 左=72%狭窄・・と、共に軽度改善中。
(大豆食品の多食がなければ、もっと改善していたでしょう)
その他の観察ポイントに関して、2018年5月の時点でプラークが悪化していた部位は全てプラークが退縮していました。
(11月の写真の倍率が初診時の写真の倍率と異なるために写真掲載していません)
<結語>
95%の頸動脈狭窄症であっても、スタチン剤を中止し、RAP食で食事療法を行うことによって、頸動脈狭窄が改善した症例を経験した。
<つぶやき>コレステロールを下げる薬(スタチン剤など)を使わず、プラークを意図して治せる(減らせる)という医療が、将来の標準医療になるように、皆様自身がスタチン剤を止めた後のLDL値の上昇を、決して怖がらないように心がけましょう。そうしたら必ず未来が開けます。動脈硬化改善を願うなら自分と家族だけが頼りです。
(動脈硬化の未来塾 52) (動脈硬化の未来塾 82) (動脈硬化の未来塾 1) (動脈硬化の未来塾 33) (動脈硬化の未来塾 35) (動脈硬化の未来塾 68) (動脈硬化の未来塾 76) (動脈硬化の未来塾 77) (動脈硬化の未来塾 87)
2018年11月22日 記載
真島消化器クリニック