脳梗塞・心筋梗塞の予防法

RAP食で95%の頸動脈狭窄症が79%狭窄に改善(1年6ヶ月後)。手術は必要?

現在の標準的医療からすれば、中等度から高度の頸動脈狭窄症に内膜剥離術という手術やステント留置術が、ある程度のリスク覚悟で行われています。(国立循環器病研究センターのサイトを参照ください)

でも、ちょっとお待ちください。これらの観血的な治療を急ぐ必要は全くありません。
頸動脈狭窄症の治療に関してはすでに掲載済みですが(動脈硬化の未来塾 35)) (動脈硬化の未来塾 85))、90%以上の狭窄例でも改善するか?・・その問いに答えられる症例を経験しました。

症例1. 75歳 男性

主訴:左右の頸動脈狭窄症の指摘。できれば手術受けたくない。

<家族歴>
父:69歳で脳溢血、80歳で他界

<現病歴>

若い頃から飲酒++ 喫煙++だった
2013年 盲腸破裂で入院以降は断酒しその後も継続。
2015年10月 突然左目に雲がかかり・・数秒で治る(一過性黒内障)(動脈硬化の未来塾 73))
2015年11月 突然左目の右半分に雲がかかり・・数秒で治る(一過性黒内障)
       眼科受診するも「異常なし」
2016年1月中旬 突然左目の右半分に雲がかかり・・数秒で治る(一過性黒内障)
2016年1月下旬  夕食時に右手に力が入らず箸を落とす。(脳梗塞)
    遠方の某大学病院にて、左内頸動脈起始部に93%の狭窄
               右頸動脈分岐部に60%の狭窄
     「脳梗塞状態」と説明を受け同大に入院。

処方として:タケルダ配合錠(バイアスピリン100mg+ランソプラゾール15mg)1錠/日+プラビックス(75)1錠/日+アトルバスタチン(10)1錠/日-開始

<左内頸動脈狭窄症に対する内膜剥離手術の予定だった>・・が、本人の強い希望で手術を延期していただく。

2016年3月初旬 当院受診  左右の頸動脈に狭窄を認めました。
       体重73.5Kg BMI=24.0 SAS:睡眠時無呼吸症候群の症状あり。

<治療>
RAP食で治療開始。(患者さんの強い意向で大学病院の担当医への連絡はしていません)&ラックビー微粒N,2g,2x服用開始し、2週間後以降は、薬局で新ビオフェルミンS細粒を購入し、添付のサジで1日3杯(毎食後1杯づつ)服用継続中(2018年11月)。

<結果>


(写真1)

左内頸動脈は、確かに95%の狭窄部位を認めましたが、約1年半のRAP食で径狭窄率が79%までに改善し(写真1)、内頸動脈の血管径も縮小しました。

コレステロール低下薬(下げるお薬)であるアトルバスタチン10mg 1錠は、本人の強い希望で2016年9月(当院初診の半年後)以降は中止になる。

2017年10月からはタケルダ配合錠(バイアスピリン100mg+ランソプラゾール15mg)が中止になる。(具体的な理由の説明なし。エコー所見の改善のため?)


(写真2)

右頸動脈分岐部は71%の狭窄でしたが、RAP食で40%狭窄までに改善

<8カ所の血管エコー所見> 2016年3月 当院初診時
1. 腹部大動脈max-IMT=6.22mm
2. 右大腿動脈max-IMT=2.33mm
3. 左大腿動脈max-IMT=2.43mm
4. 右鎖骨下動脈max-IMT=3.24mm
5. 右頸動脈分岐部max-IMT=3.97mm(写真で提示)
6. 左頸動脈分岐部max-IMT=6.70mm(写真で提示)
7. 右総頸動脈max-IMT=0.57mm
8. 左総頸動脈max-IMT=0.77mm
  *:脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4 (0〜4)に評価  T-max=18.59 mm

<当院初診までの食歴>

  • 週に2回は朝:パン食 食パン1枚+マーガリン付けて・・・40年間
  • 野菜を多くと・・心がけていましたが・・焼きサンマを半分・・・毎日食べていた。
  • 野菜を多くと・・心がけていましたので・・豆腐を半丁・・毎日食べていた。
  • 野菜を多くと・・心がけていましたので・・納豆を1〜2パック・・毎日食べていた。
  • 野菜を多くと・・心がけていましたのでバナナを毎日食べていた。

食習慣点数=358点 (内、アルコール摂取点数=60点 :アルコール多飲群)
<食の好み>揚げ物:大好き、肉:大好き、魚:大好き、甘いもの:普通、野菜:好き、
運動:好きでない

<考察>

  1. 高度の頸動脈狭窄の原因は・・魚や肉や揚げ物が大好きであったことに加えて、過去のアルコール多飲+サンマ過食+マーガリン頻回食+豆腐の過食(毎日半丁)+納豆の過食(毎日1〜2パック)などが複合して狭窄が生じたものと考えられます。動脈硬化を心配して、野菜を多くと心がけた常識的な健康常識が逆に“仇になった”(動脈硬化が進行)と考えられます。
    (血管エコー実例・・ 29)をお読みいただければ、全てご理解いただけます。

    現在、テレビなどで話題になっている健康常識は、現代の老人たちの動脈硬化を進行させているのでは?・・と思わせる症例(動脈硬化の未来塾 88))も珍しくありません。

    ***血管プラークへの影響を考慮せず“健康にいい食品”を推薦するのは危険です。**
  2. 頸動脈狭窄の改善=プラーク改善の意味すること
    この方は、2018年11月時点で頸動脈狭窄率が95%から72%へと改善。このことは、例え話をすると・・・

    「9.5mのビルの屋上から何百回と飛び降りても大きな怪我をしなかった人が、7.2mのビルの屋上から飛び降りても大きな怪我をするはずがありません。・・物理学的に考えれば、それ位の安全性が確保できたことになります」 ・・・動脈硬化のリスクは物理学的事象が優先します・・・

    つまり・・初診時に72%狭窄がある場合、医学的にリスクを考えれば(通常、プラークは退縮せず、時間経過に従って肥厚するものと考えるのが現在の医学常識)危険です。

    ・・でも物理学的見地(前述の飛び降りのたとえ話)からリスクを考えれば95%狭窄から72%狭窄へ改善していれば、その人が脳梗塞という怪我をする確率は0に近いでしょう。 一方で、60%狭窄の人が72%狭窄になれば、いつ脳梗塞が起こっても不思議ではない状況だと言えます。

<その後の経過>

2018年5月中旬 左右の狭窄部のプラークは改善していましたが、その他の観察ポイントではプラークが悪化していました。
プラーク悪化の原因は・・・2017年9月〜2018年5月まで、納豆を1日2パック、豆乳を1日300cc,自家製豆乳ヨーグルト250g/日などと、大豆食品の多食が原因と考え、
大豆食品を制限しました。(動脈硬化の未来塾 87))

2018年11月初旬にも元気で受診され、何事もなく、体調は非常に良好で経過中。
頸動脈狭窄症も、径狭窄率で右=39%狭窄 左=72%狭窄・・と、共に軽度改善中。
(大豆食品の多食がなければ、もっと改善していたでしょう)

その他の観察ポイントに関して、2018年5月の時点でプラークが悪化していた部位は全てプラークが退縮していました。
(11月の写真の倍率が初診時の写真の倍率と異なるために写真掲載していません)

  • <2016年3月と2018年11月との症状の比較>・「2016年3月」→「2018年11月」
  • 体重・・・・・・・・・・・・「73.5Kg(BMI=24.0)」→「63.0kg(BMI=20.6)」
  • 一過性黒内障(左目の右半分に急に雲がかかった症状)・・抗血小板剤の効果もあり。
         頻度が・・「大学受診前は1/週. 程度」→「現在は1/1〜2ヶ月. 程度」
  • 夕食時に右手に力入らず橋を落とす(2016年1月)・・症状なし(抗血小板剤使用あり)
  • いびき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「10+」→「1+」
  • SAS:睡眠時無呼吸・・・・・・・・・・・・・「+」→「-」?本人感想(未確認)
  • 2017年以降は内膜剥離術の話は担当医からはなく、1/6ヶ月のMRAや頸動脈エコーのフォローで経過観察を受けている。

<結語>

95%の頸動脈狭窄症であっても、スタチン剤を中止し、RAP食で食事療法を行うことによって、頸動脈狭窄が改善した症例を経験した。

<つぶやき>コレステロールを下げる薬(スタチン剤など)を使わず、プラークを意図して治せる(減らせる)という医療が、将来の標準医療になるように、皆様自身がスタチン剤を止めた後のLDL値の上昇を、決して怖がらないように心がけましょう。そうしたら必ず未来が開けます。動脈硬化改善を願うなら自分と家族だけが頼りです。
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2018年11月22日 記載
真島消化器クリニック

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